【ネタバレありあり】シン・ゴジラ観てきた【閲覧注意】

以下ネタバレありありになるので、未鑑賞の方は絶対に読んではいけません。
これを読むくらいなら観に行くべきです。
映画館に。

以下「続きを読む」を展開してお読みください。






















リアルとトンデモ シン・ゴジラ

マッチョい越権行為に走らず、「日本は議会制民主主義の国だから、法律作らないと動けない」という立ち位置を堅持しているところがイカスー! な、シン・ゴジラ。
巷ですでに言われているとおり、主役は行政であり国である。どういういきさつで蘭堂などという名前をつけたのかその理由をご両親にお尋ねしたい内閣官房副長官矢口蘭堂、「この国をどう生き延びさせるか」を冷静に戦略化する内閣総理大臣補佐官・国家安全保障担当赤坂秀樹、弱腰に見えながらもおそらくその時々で最適な決断を懸命に下してゆく内閣総理大臣大河内清次、老練な内閣官房長官東竜太、研ぎ澄まされた刃のようにやり手の防衛大臣花森麗子、やだー行政の研究職にこういう子絶対いるよねーな市川実日子、内閣総辞職ビームの後当座総理となり「やっぱ輪番大臣は弱いなー」と思わせながら意外とやることはやっちゃう里見祐介、うわーⅠ種の人にこういう人いそうだなーとあるあるネタに走らせる森厚労省医政局研究開発振興課長、これもオタク寄りのⅡ種にいそうだなーと思わせる安田文科省研究振興局基礎研究振興課長(でも課長になってるからⅠ種なんだろうなー)、うわーこの人もすごい国家公務員顔だーよくこんなちょっと間延びしてさえなくて味のある役者さん見つけてきたなーな根岸原子力規制長監視情報課長、どうみてもモブですほんとうにありがとうございましたな前田敦子など、魅力的なキャラクターが満載でありながら、とにかく主役は国、切り落とされても首をすげかえもがきながら這いずり回る、したたかでしぶとい日本国そのものである。
思い起こせば、当時の民主党が与党になり次々と素っ頓狂なことを言い出し死に体になったかと思われた日本を「運営」しきったのは官僚であった。国の運営のためには官僚の意図した結論しか出せないような判断材料しか提出しないというような作為も行うため民主党のような先進的な与党には大変嫌われたようだが、最終的にはあれだけの被害で済んだのは官僚の作為の結果ではなかったか。
作中の、「…で、どの省庁に言ったの? 」は、笑いツッコミどころでありながら、「えーこれまじでどこの所管? 総務省? 防衛庁? 環境省? 国交省? 」と困惑するのも確かである。
ゴジラの上陸ルートは、首都圏の人間なら「うわぁぁぁぁうちの近所荒らすんじゃねぇぇぇ」と受けること必定。だって、アクアラインかーらーのー蒲田上陸、品川付近まで来たところで火照っちゃったから東京湾水風呂、その後なんと鎌倉から再上陸しやがってそのまま都内に向かい赤坂虎ノ門永田町を炎上させるという隙のない布陣。当方においては生活圏が隣接しすぎているので漏れなく作中で死ぬ自信がある。ふぐぅ。
災害後の蒲田で矢口が手を合わせる光景は、東日本大震災の雪の中で祈りをささげる僧侶を思わせる、殺伐の中の哀悼であった。もちろん避難及び避難所の生活風景は東日本大震災の完全なる既視であり、当座総理の「避難は国民に生活のすべてを捨てさせることだからなぁ」という慨嘆も変に荒ぶっていた元菅総理でなければ出て当然の台詞であったろうが、一方で「これは生物であって災害ではないから駆除できます」という花森防衛大臣の断定が、「これはあの震災のようであるが、あの震災ではないのだ」という、製作者の厳密な線引きを知らしめた。
そう、生物である以上、駆除できるのだ。
できるはずなのだ。

そこから、軍好きには垂涎の自衛隊総力戦、武器の無限使用の許可、惨憺たる敗退、米軍の参加、地中貫通型爆弾による生物の一部損傷かーらーのー「なんてことすんじゃ具合悪くなったやんけダバァ」という生物によるマーライオン、出し切ってからの口と尻尾からビーム、さらにおおう巨神兵な体中からの内閣総辞職ビーム、エネルギー使い切っての活動停止、というなんかもう書き尽くせないような流れ。
くそう、人知は負けるのか? また例の「なんか世界が危ないから核いっちゃいまーす」的な米軍主導の国連パターンか? と思わせておいて、まさかの「口から変なもん飲ませて凝固させて活動停止に追い込んじゃえ、名付けて日本武尊の 八塩折の酒作戦だぁぁぁ! 」となる超展開。え、それってちょっと絵面的に地味なんじゃ…? あと現実でも原発事故対応として冷凍作戦使ったけどなんかダメだったよねそれ無理臭くね? と観客をはらはらさせつつ、関係者による根回しは着々と進行、核投下までのカウントダウンは少しずつ引き伸ばされ、一方で変なもんは日本中の化学プラント総動員で製作され、残すはあと一日というところでギリッギリ薬効のある分量の確保に成功、かくしてヤシオリ作戦は遂行される。
矢口君による「国のために死んでくれ」という号令のもと、作戦遂行に向かう自衛隊。変なもん飲ませるためのストロー的な何かを装備した重機部隊が編成されるというのはよくわかるし、ゴジラが貯め続けているエネルギーを再度放出させ且つ作戦遂行予定地に追い込むために再び陸海空日米とりまぜての無人機活用総力戦が繰り広げられたのもいいのだが、その後がすごい。
再び「口と尻尾と体幹からもれなくビーム」をやりつくして「あーちょっとおっちゃん疲れたから休ませてもらうわー」となった生物に対し。

無人新幹線爆弾発車。
とても大切な言葉だから復唱する。皆さんにも暗記していただきたい。
無人新幹線爆弾発車。

もうこの特撮ならでは醍醐味と言ったら!
東京駅近くに追い込んだ生物の足元に豪速で線路走ってきた新幹線が突っ込んで爆破ですよ!
たまらん!

そして「庵野にやられた! 」という衝撃を受けた鑑賞者の精神を追い込むように
無人在来線爆弾
が発車されるのである!

はいこれも大切な言葉なので復唱するように。

無人在来線爆弾。

いやもうこれやられたら敗北宣言である。ごめんなさいである。そのあとの高層ビル群爆破による生き埋め作戦も、ストロー口に突っ込んで変なもの飲ませるという地味な絵面も、想定の範囲内の第一隊全滅も、もうどうでもいい。

ああ、生きててよかった
これを大画面で見る決意をしてよかった
と思わせてくれる素晴らしい滝沢E電パンチであった。

いやもう、ほんと面白かった。

さて、ここで終始「生物」と呼んでいたにはわけがある。

「呉爾羅」って、唐突すぎね?

いや、いいんだよ、ゴジラ。GODZILLA。全然問題ないんだよ。
でもさ、作中で、アメーリカのインテリエリートのはずなのに日本語の発音はネイティブジャパニーズ並の一方英語の発音はわやわや、にもかかわらずなぜか日本人に対しては英語交じりの日本語話すわけわかんない女が資料持ってきて「博士はあの生物をGODZILLAと呼んでいました」とか言い出すのなんか無理があるんだよ。
そりゃゴジラはゴジラじゃないと困るよ? だってゴジラなんだもん。ファースト・インパクトがなかった世界を焼き直す中で、呼称ゴジラにどうやってもっていくかって悩むのはわかるよ? でも、世界観の根幹に関わる資料持ってくるのが何もあの女じゃなくてよかったんじゃね? せっかくこつこつ積み上げてきた行政軍事被災のリアルがあの女で台無しだよ。何してくれんだよ。「ザラはどこ? 」とか小ネタ突っ込んでくるんじゃねーよ。なんでそんな安いとこで買うんだよ。日本のそこそこの立ち位置の人が「着替え持ってくる暇なかったからシマムラの場所教えてよ」って言ってるようなもんじゃねぇかよ。友人のパーリィとかVIPアピールしておきながら突然の庶民派宣言かよ。だったらまずはコンビニでパンツ買えよ。わけわかんねぇよ。

あとさ、
ちょっと、生物学的なゴジラの立ち位置、無理臭くね?

「古代生物の住んでる海域に投棄された放射性廃棄物を何らかの形で摂取した影響で異常進化を続けている」ってさー。
まずは死ぬよね。
あと、進化は個体に適用される概念じゃないから、いっくら鰓のある上陸したての両棲類から肺呼吸可能な爬虫類になったとしても、そしてそれがもしかしたら「シン・ジンルイ」を生み出す可能性があったとしてもだ。
それは進化ではなくて「変態」だろ?

でもまぁ矢口さんが作中で
「まさに…変態…」
とか言ったら、作品の意味が全く違ってきちゃうからそこは進化で押し通すしかなかったとは思うのだが。

あと、作中での特級の迷惑人物といったら牧吾郎博士だろう。
日本の学界から追放されたのは気の毒だが、なんで中途半端なヒントと思わせぶりな遺言残して死んでるんだよ。
特撮のオマージュとしては非常に重要なのだろうが、もしあれがうっかりよその国に行ってたらどーすんだ。
日本に復讐もへったくれもないだろう。
中途半端なヒントの解析結果が極限環境微生物(たぶん放射線耐性のあるデイノコッカス・ラディオデュランス(今調べた)と熱水噴出孔やイエローストーンで発見された高温耐性のある微生物あたりがモデル)の生成するゴジラの細胞膜の代謝を阻害する抗生物質だったわけだが、いくら極限環境微生物でも放射線と高温双方に耐性のあるモンは流石にいないんじゃねぇかな。いるかもしれないな。ま、覚悟はしておけ。

ゴジラが熱核エネルギー変換生体器官を内蔵する混合栄養生物というのもわけがわからない。混合栄養生物というのは根っこから栄養とりながら光合成してるよーなのを言うと思うのだが、光合成を熱核エネルギー変換として、ゴジラの主食何?
無生殖による個体増殖の可能性もよくわからん。あれだけ複雑そうな器官持ちながらアメーバみたいに分裂するのだろうか。個体が群体化し、小型化し、さらに有翼化して世界へ…って、桃色サルパが超進化(群体からだからここは進化でいいだろう)してガーゴイルになるんかい。
でもたぶん「リリス的な絵をどうしても入れたい! 」という欲動から超設定になったんだろうことはわかる。

というわけで、パンフレットと一度の鑑賞記憶だけを頼りにした勝手帳なので、覚えまつがいなどあったと思うが、そういうものについてはソフトに指摘していただきたい。指摘頂戴次第修正する所存。読み苦しかっただろうところについては、作中のこのセリフで勘弁していただきたい。

「私は好きなようにやった。君たちも好きにしろ。」



あとパンフを作った人にどうしても言いたいことがある。

なぜ三本目のインタビューが保守第一党政調会長泉修一こと松尾諭のものじゃないんだぁぁぁぁ。
英語の発音すら切れさせられない女の役作りメモなんかどうでもいいんじゃぁぁぁぁ。
松尾さんのインタビューを読みたかったんじゃぁぁぁぁ。

あーもーあーもーあーもー!

(唇は、エロかった)
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4回もご覧とは羨ましい!

「自分の中で腑に落ちるまでほかの人の感想は入れない」というのはあの映画においては必須ですよね。
お楽しみいただけたなら幸いです。
後個人的には河野さんの「俺の話を聞けー! 」記事がかわいかったです。

がろさま、めっちゃ放置プレイですいません

こちらこそわかっていただきありがとうございました。
滝沢E電パンチは雄たけび鑑賞会で少しでも触れられたのかすごい気になります。

後、なんか最近、全部「君の名は。」に持ってかれてるくさくて納得いかない…。

では、ちっと肩が痛いのでこのあたりで。

No title

いつも更新はらはらしつつ、待ち遠しく、読ませていただいております。
ネコタさんの感想、「シン・ゴジラ」への自分感想がある程度、
自分の中で腑に落ちるまで、読むのをとっといて良かったです。
文章前半はウキウキと、後半はフムフムと、
鑑賞4回目にして、愉快に読ませていただきました(^^
いや、でも、すごい映画です。好き。

No title

さすがネコタ様!わかってらっしゃる♪

長文堪能しました(至福~)
プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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