前沢幸恵さんの磁器は山荷葉のように美しいのだった

赤坂のギャラリー、カフェ・ジャローナで前沢幸恵さんの陶展を見てきた。

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その造形力の確かさもさることながら、独特の技法に舌を巻いた。

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外に葉脈の様な碧の線が載せてあり、それがうちに綺麗に透けている。
このような技法を見たことがなかったので詳しく伺ったところ、
極々薄手につくった磁器の外側に硫酸銅を入れた線を載せて焼くと、裏に抜けるのだそうだ。
それで内と表で同じ文様に成るのだという。
似た技法はありますかと尋ねたところ、黄瀬戸にある抜けタンパンは同じく硫酸銅を重ねて裏に緑を抜けさせるとのこと。
だが線を載せて立体にするところ、磁器をベースにしたところがやはり独特である。

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また内は磁器成りに艶を帯びているが、外はマットである。
このわけを伺ったところ、焼いた後外側のみを丹念に紙やすりで磨いているからとのこと。
なんとも手の込んでいることよ。

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サンダーソニアの愛らしさがよく似合う花入。

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高台を粗く削いで金を載せるなど、見えづらいところにまで贅を尽くしながら、少しも嫌みでなく、ただ格が上がっているのが素晴らしい。

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ピジョンブラッドを思わせる深い赤、これも同じく硫酸銅とのこと。但し窯の中にバーナーを入れて強く焼成している。

緑青と赤銅の理屈だ。

どうにもならなくなって、ぐい呑みを手に取った。

縁の薄い繊細、内の磁器成りの端正な艶、表のマット感、なんと手になじみ、なんと美しいことか。

私が一等好きな牡丹、白峰の花弁のようであり、また写真でしかみたことのない山荷葉の花が、雨に打たれ透明になってゆくその中途のようでもある

一つ求めた。
これだけ手をかけたものが3,000円で贖えるのだ。
なんといい時代であろうか。

(そういやぁ断酒を決めたんだった。
ならこれは上等の玉露でもちびちび飲む器にしようか。)

カフェ・ジャローナでの前沢幸恵陶展は、2月6日土曜日まで開催中。

カフェ・ジャローナ
前沢幸恵さんのサイト
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