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つまらなくないもののはなし

下の階の人から漏水の通報。
修繕完了したところでお詫びの品を持って行った。

さて。
ここからは私の生涯かけての持論であるが。

お詫びの品は、つまらないものであってはいけない。
そんなものをお詫びに持って行ってはならない。
堂々と、先方に向かって、
「これはつまらなくないものですがァァァァァ! 」
と呼ばえるものでなくてはならないのである。

私の生活圏で手に入る一等つまらなくないもの、それは
しろたえのチーズケーキ
である。

こんなに美味いものはそうそうない。

みっちりとしておりながらおそろしく軽やか且つなめらかな舌触りの純白のレアチーズ、
それは柔らかい甘さをまといながら、濃厚な乳製品のうま味をみちみちと詰め込んでいる。
この端正な雪山を飾るは芽を出したばかりのふきのとうのように愛らしく絶妙な色目のピスタチオ、
香ばしいのにレアチーズを邪魔しない下地の焼き菓子。

下世話な表現をすれば、思い返しただけで唾液腺から体液が噴き出しかねない代物である。

しかも赤坂見附の一店舗でしか販売していないレアものだ。

どうだ、参ったか!
いや、参ってくれぇぇぇ!

というわけで、お二人住まいのところもあり、小さい方のホール(1,300円)と、クリスマス限定のクッキー二つを併せて差し上げに参った。

ご迷惑おかけしました、いえいえ何度も足をお運びいただいてかえって申し訳なくて、というニポンジン的お詫び合戦が8分を越えたあたりで

「すみません、どうぞ!
こちらは、
つまらなくないものです! 
いろいろご迷惑をおかけしましたんで、受け取ってください! 」

と、ケーキを差し出した。

困惑したところに、

「赤坂のしろたえのレアチーズケーキです! 御存知ですか? 」

と畳みかける。

先方、しろたえ御存知でいらした。

顔を綻ばせる。

「あら、しろたえのレアチーズケーキ?」
「はぁ、職場が近くなので、お昼のついでに」
「あらまぁあなたあのへんに勤めてらっしゃるの? 」
「はい」
「私もよくあのあたりに散歩いくのよ、それでね…」

ちょっと解れた会話モードに移行完了!

ああ、良かった。
しろたえでよかった。
赤坂という地で
静かに長く
ただただ丁寧に作られた
変わらぬものを
私の申し訳なさ
先方への慰みとして
手渡すことができてほんとうに良かった。

というわけで
しろたえのレアチーズケーキ、ほんとにおいしいですよねー、ありがとう、じゃあせっかくだから遠慮なくいただくわ、という和やかムード、自分も立ち去りかけたところに、つい

「あのう、ついでといっては申し訳ないんですが、一つお伺いしたいことがあるんですが」
「なんですか」

先方、怪訝な顔になる。

「……しろたえのレアチーズケーキには、珈琲と紅茶、どちらが合いますかねぇ」

暫時。

「そりゃあ紅茶でしょう! 」
「やっぱり紅茶ですよね! 」

激しく同意しあって、帰途に付いたのであった。



この記事でわかったこと。

①ネコタ斑猫にとって生活圏で手に入る一等つまらなくないものはしろたえのレアチーズケーキ。

②ネコタ斑猫の人生は主に蛇足でできている。

そして次の記事でわかること。

それはまだ…………混沌の中。

それが…………バー理科室の備忘録!
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プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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