かぎをなくしたときのこと。

過日、鍵を失くした。
いつもの酒場でいつもと同じように過度に酩酊、こら危ないと自転車置いて歩いて帰って翌朝みたら腰のカラビナから鍵が落ちている。
とにかく仕事いかにゃいかんので歩いて駅までゆき、そういやぁ酒場を出る時既にカラビナから鍵が落ちていたように思い出し、帰りがけに酒場に寄った。
そこでお客さん全員巻き込んで探したが見つからず。
で諦めて帰ろうと自分ちに電話したが今度は子どもが出ない。
出ないということは出かけているか寝ているかであって、いずれにしても奴が居ない限り鍵なし子の自分は入れない。
おまけに電話の充電はあと一本という心許なさ。

諦めて酒場でビバーク、いっそと楽しく呑んでおったらば、実に十一時くらいになって子どもから電話がかかってきた。
小躍りし、店の全員にお礼とお詫びを申し上げ、慌てて帰って食事の支度をしたわけだが。

後日この件をそのとき一緒に探してくれた常連さんに話したところ、「えらいじゃん息子、俺だったらどうせ呑んだくれてるんだろうと思って電話しないね」

そこで思い至った。
あいつは、このクソ飲んだくれのおかんが、屹度帰ってきて、自分にご飯を食べさせてくれると信じているのだ。
だから帰ってこないことを不審がって電話を寄越してきたのだ。
あんなに憎まれ口を叩いていても、心の芯の奥の奥では、一応私はあいつにとって確かに母親であり、最後の寄る辺なのだ。

バカだなぁ。
私も、お前も。

そういやぁお前言ってたなぁ。
お母さんのご飯、好きなんだ、って。

というわけで、息子ツンデレの真髄を人に教えられたおかんでありました。

あー、んでいいづらいんですが、鍵、マンションのイリクチに落っこってたらしく、次の日掲示板にかかっていましたとさ。
すんません。
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  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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