鎌倉に散らかっている美味のこと

鎌倉市農協連即売所の野菜が不揃いながら安くて新鮮で多様なのは言うまでもない。
萩原精肉店の100g500円内の和牛ステーキのサービス品を買ってよい塩を強めに振って黒胡椒をがりがりやって牛脂でごく浅く焼いたところをポン酢で頂いてご覧なさい。腰が抜けるほど美味い。
また鎌倉育ちのお嬢さんに「鎌倉の良心」といわしむる肉屋肉の大成は安価で安心で大変よろしい。
御成をずっと行ったところにある鳥一さんも鶏肉揚げ物みな上質な店である。こちら後述の高崎屋本店さん五押しくらいの店なんだが、そちらまで足を伸ばすことが少ないのであまり買う機会に恵まれない。我が所業の結果ながら残念。
農協で扱っていない野菜他果物きのこ類は鎌万水産をあたってみるとよい。こちら鎌倉にそぐわぬ御徒町の市場みたような作りで今の季節白菜の疎抜きが一把100円で売っていたりして実に助かる。また同店は季節ごと八種もの刺し身を三切れずつ盛り合わせたものをたった980円で売っていてこれまた楽しい。こういう回転のよい店で買い付けるとスーパーの砂塵まぶしたような刺し身は到底買えなくなる。何しろ鎌倉で唯一伊勢海老の漁業権をもっている漁師さんと取引しているくらいだからなんだか知らんがとにかくすごいのだろう。ここのねぎとろも混ぜ物の気配なくいかにも手で掻いた風の粗さで大変よろしい。更にいうとここで扱っている静岡のしらすの選別は逗子鎌倉のどの魚介店よりも緩くてちりめんモンスター蒐集には最適解である。
干物は高清である。ここの干物は贅沢品である。出すぎないぎりぎりの塩でこれまたぎりぎりのふくらかで身離れのいい干し加減を白飯とかっこめばよくぞ日本に生まれけりという気持ちになる。直営店なので昨日の売りそびれを値を落として分けてくれるがありがたい。
揚げ物は丸武惣菜店の小振りな小判型がよろしい。実に細かいパン粉をしっかりした味付けの種に薄くつけからりと揚げたそれは持ち帰りは勿論食べ歩きにも楽しい逸品だ。少し甘いコロッケと質実剛健なメンチ両方頼み、ウスターソースをちょろりとかけて素っ気ないポリ袋に入れて呉れたのをさぁどちらが先に来るかと探りながら齧るが手前の作法である。
(いつぞや自分を真似した観光婦人が箸が供されぬに不平を言っていたがあれぁよくない。一つ100円しない惣菜に何を求めるか。ソースをかけてくれるだけで十二分にありがたいと知れ。)
酒は高崎屋本店に限る。あすこの日本酒を呑んでいればまず間違いない。以前は四合瓶を身受けさせてもらっていたが今は御存知の通り減酒中(おいこら断酒は何うしたいや始終あすこの酒の喉越し芳香ばかり懐かしんで呆けるよりは持ち帰って薬と併せのむのを避けるほうがよほど賢いと考えた次第そらみろどうせまた中毒に戻ると笑わば笑え)の身、週に一度の角打ちでコップにニ・三杯をやっつけて文字通り酔痴れるのが精々、とはいえ以前は一度に一種としか勝負できなかったわけだから一杯ごとに味わいわけて通ぶるのも悪くない。
あとはえにしの鮨を旬ごとにいくつか摘んでみれば、それでおよそ自分好みの懐に優しい鎌倉の美味を網羅する次第。
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あんどさま、コメントありがとうございます!

逗子在住、もの寂しい懐、限られた時間という三条件をかけた上での最適解がこちらの記事でございます。
白状しますと逗子にはここにあげられるほどのものすらないというのが実情…ッッッ!!!! 
されど屹度、山口やらにいけば、ずっとずっと美味いものがあるのだろうなぁ…! 
青森もうまかったなぁ…!
金沢もうまかったなぁ…!
沖縄はそんなでもなかったけど面白かったなぁ…!
北海道は行ったことないけど美味いらしいなぁ…!
そういやぁうちのコゾーはアメリカにうまいもんがないと嘆いていたけれども大丈夫かなぁ…!
などと、数え上げればきりもない次第。
あんどさまから見れば、さぞ知見が狭く、お見苦しいことと存じます。
しかしながら、これらのお店の人々は、屹度誇りもってそれぞれの品を提供していると思うのです。
拙はその誇りを分けていただけるのが嬉しい。
そんな思いでこの記事を書いたのでございます。

というわけで、拙の最適解はこれこのとおりご覧に入れましたので、
ぜひあんどさまの「他の地域の商店」を熱く熱くコメント欄で語っていただきたい!
それが紹介された商店の隆盛にもつながりますし、
また拙の老後の楽しみを提供することにもなりまする!
さぁさ、こちらの記事のお代だと思って
一つお披露目いただけるとこれ幸い!
既になくなってしまった商店でもよし!
紙面はいくら使ってくださっても構いませぬ!
何卒ものを知らぬ拙に、あんどさまの太鼓判をお知らせいただければ幸いです。

あ、秘蔵の店でございましたら、そこはひとつ
「管理者にだけ表示を許可する」でも結構でございますゆえ。

では、楽しみにしておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

ネコタ斑猫 拝

鎌倉愛

鎌倉愛ですね。

しかし、残念ながら、これらの店は他の地域の商店ではごく当たり前、
住人にとっては鎌倉は店がないから仕方が無いか…という感覚。
賛美するにも過大過ぎるのは…
プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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