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大佛茶廊のこと

いつものように鎌倉に買い出しにいって、そういやぁ職場の人に「外国人向け一日鎌倉ツアーオススメスポット」の選定を頼まれていたことを思い出し、いつもと違う道、といっても段葛の小町通ではない側というだけの話だが、そちらを歩いてみることにした。
と、八幡宮にほど近い小路の曲がり口に「大佛茶廊」なる立て看板を見つけた。

osaragi1.jpg

隠れるようなその看板の佇まいに惹かれ、言われるままに道なりに歩いてゆく。観光地の喧騒を離れ
(こんなところに喫茶店なぞあるのだろうか)
と不安になった頃、立派な門構えの建物に行き当たった。

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どうもこちらが「大佛茶廊」であるらしい。

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左側の銅板を見たところ、ここは大佛次郎が茶室として使っていた建物であったとのこと。

osaragi5.jpg

いよいよ歓心を惹かれて門をくぐる。

osaragi6.jpg

と。

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年季の入った玄関口の脇にメニュー表が据えられている。

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一瞥して狼狽した。
ちと高い。
庭園席メニューでも1,300円をくだらないところにもってきて、座敷席メニューと来た日には1,500円である。
それぞれ立派な菓子がついてはいるものの、これは鎌倉に安くて上質な食材を贖いに来ている人間が買い物ついでの一服で出す値段であるのか。
そも自身は片手にレジ袋、右肩にネギのつきだした保冷バッグを下げている状態である。
このように生活感溢るる人間が一体こんなにも文化的なる場所に立ち入ってよいものか。

しかし、である。

今日見送って、再訪の宛は一体あるのか。
それにだ。
上等の茶菓子のついた上等の喫茶代750円、名だたる文人の茶室の見物料750円と考えれば、別段高くもない。

そう考えて、私は、自分のなりはさて置いて、こちらで一服させていただくことにしたんである。

中から出てきたのは、いかにも文化的なお嬢さんであった。

庭園席をお願いしたところ、天気がよろしくないのと庭園席では屋内を見物できないのとで座敷の利用を勧められる。
なればええいと思い切って座敷にした。
注文は鎌倉切っての和菓子屋美鈴の茶菓子のついた冷抹茶1,500円也。
しばし庭を眺めながら待つ。
ちなみに注文時に席でお会計システムである。

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冷抹茶到着。

osaragi10.jpg

いかにも涼やかで美しい。
菓子は錦玉羹だという。
また、冷抹茶は沈殿しやすいのでお早くお召し上がりを、とのこと。
言われるまでもなく頂戴する。

流石名にし負う美鈴の茶菓子である。
実に美味い。
真ん中はうぐいす豆で拵えた餡であろうかとも思うが、不調法なのでわからない。

それからしばらくは庭を散策したり諸々の写真を撮ったり大佛先生ゆかりの品などを眺めて過ごした。

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自分の他に一組お客があったようだが、じき出立したようで、梅雨時昼時であったせいかその後は客もなく貸し切り状態、居心地の良さに窓際に胡座をかいて水を時々飲みながらただ庭を眺めていた。

風景の基調のように、油蝉が鳴いたりやんだり。
庭の向こうの通りに沿って、人の話し声が近づいては過ぎて行く。
赤子の泣き声も近づいては過ぎて行く。
庭には、蜆蝶、黒揚羽、紋黄蝶。
水屋からは人の気配。

俗世から離れているような、しかしどこかでつながっているような、そんな浮世離れした静謐の場所であった。

ただしこの静謐は、余人がおらなんだためかもしれないのだが。
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ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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