女性の化粧について不可解なこと

なぜ女性が平素から化粧をするのかがわからないまま40半ばを迎えてしまった。
元来化粧が下手くそだというのもあるが、最大の理由は

愛しい人と共に暮らすようになったなら、いつか必ず素顔を露わにせざるを得ない局面がやってくる。
なれば世の女性は、最も愛しい人に見せる顔が自分の差し出しうる一番粗末なものでよいと思っているのだろうか。


という素朴極まりない疑念にある。

化粧というのは概ね自分を美化するためにするものだと考えている。
「短所を補う」という名分で取り繕ったところで、いずれ美化のうちである。
さらば化粧で外向きの顔を整えた分、内向きはいくらか粗末にならざるを得ないは自明の理である。
そんなひどい矛盾について「嗜みだから」の一言で済ます女性のありように納得が行かないのである。

美しい女性は大好きだ。
だが、化粧はハレの日のみに施せば足るのではないか。
ここぞという日に存分に美しく飾り、平素は慎ましやかに素顔であることこそが、元来の化粧のありようではないのか。

常時ハレを宿命付けられている貴人でも玄人でもなくばこそ。


そもファウンデーションというのも雑なものである。
個別に調合してくれるブランドでない限り、せいぜい6種類くらいの色目の展開しかない。
一方で顔色というのは日に焼けたり体長が悪かったりのぼせたりで微妙に変わるものである。
大体首や手にも違和感なくそぐうのは自分の素肌の色にほかならない。
にもかかわらず何故たかだか6種ばかりの色目に自分の顔を押し込めようとするのか。
そんな無理を疑念持たず受け入れている女性というのは繊細を名乗りながら案外雑だと思うのである。

口紅も不可解である。
そも毎年異なる流行があるというのがわからない。
自分の肌の色にそぐい引き立てる色目を何故流行りの中に探そうというのか。
大体自分の血色に一番合う色というのは元来の唇の色に決まっておろう。
更に口紅は落ちやすい。ティーカップなどにつくと見苦しいのですぐに拭うのがマナーですなどと巷間では言うておるが、そもそも口紅などという洗浄しづらい顔料をティーカップにべったり付けるところからしてマナー違反であろう。
落ちにくい口紅というのもあるが、それはそれでクレンジングが難儀で肌荒れを起こしそうであるし、口紅を塗ってからファウンデーションを叩いてもう一度口紅を塗るなどという面倒な工程を経たらば落ちにくくなるそうだがそれはつけている状態からして負担をかけそうでいけすかない。
大体接吻はどうする。自分は好きで食事時に食っているからよろしいかもしらんが(物食うと口紅が落ちるというのは畢竟そういうことであろう)、君らは愛しい人に口紅を食わせて平左なのか。
君らは油の塊みたような口紅を食えと差し出されて食えるのか。食わんだろう。
なのに何故少しずつなら無思慮に摂取し続けるのか。
(このあたりファウンデーションも同様である。ファウンデーションを食えと差し出されても食わないだろうに、顔に接吻してくる愛しい人にはファウンデーションを食わせて平気なのである。存外世の女性はぞんざいにできていると思うところである)

アイメイクは更にわからん。
目元は普通のパックすら利用できないデリケート極まりない部位であったと記憶している。
ひところは目元専用のパックが別立てで売られておったほどだ。
そのように手厚くもてなさねばならない目元にだ、二重になるテープは貼るわ接着剤でつけまつげやらまつげエクステやらをひっつけるわその上にマスカラなどという繊維入り耐水性の顔料を塗りつけるわアイラインアイシャドウなどという色の粉やら絵の具やらを刷毛やらスポンジやらで塗りたくるやらさらにそれを毎晩ご丁寧に落とすやらで
なんだね君らは好んで目元に負担をかけ乾燥させるのが趣味なのかねするってぇと君らは普通よりも目元に早くちりめんジワを発生させたくてたまらないのかねそうかそれは大変結構しかしそれをするなら年経てから「シワをなんとかしたい」などと言い出さないでくれよ面倒くさいから
などと言いたくなってしまうのである。
カラコンなぞあら狂気だ。コスプレで写輪眼を再現するためのプロ根性のカラコンは認めるが、平素から黒目を大きくするために非実用の極みを眼球に貼っつけて虹彩の繊細な美しさを打ち殺してそれで黒目が大きくなったなどと喜ぶというのは、そりゃあ君らバカそのものじゃないか。

女性には美しくあってほしい。
だが、それが一番愛しい人との日常を無視して成立するものであってはならない。
何より、一番愛しい人に、自分の素を見せられないというような状況に自分自身を追い込んではならない。

というわけで、「化粧は嗜み」などという常識の顔をした非常識は化粧品メーカーの売らんかな戦略にほかならないので、世の女性はせいぜい薄化粧に切り替えてハレの日だけ美麗なる化粧を施すといいよ!

あと寝化粧は艶っぽいんで賛成するが、紅は控えめに差して頂きたい。 接吻で紅潮してくる唇にこそ風情があるものだから。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
検索フォーム
最近の記事
カテゴリ
リンク
最近のコメント
月別アーカイブ
RSSリンク
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

最近のトラックバック