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植田正治、または入れ子の悦楽

東京駅ステーションギャラリーで開催中の「植田正治のつくりかた」を鑑賞してきた。
自分が植田正治というカメラマンを初めて知ったのは大学のころだったか。サライの巻末の展覧会の案内で砂丘に静物画的に人物を配した写真を見た覚えがある。そういえば特集もやっていたようだ。しかし彼の撮った「写真」(というより「光画」)の現物を見るのはこれが初めてである。生誕100年ということで企画されたらしいが、もうこんな大々的は二度とないのではないかという記事が日経に載っていたと知人に聞いた。
展覧会では植田氏の高校の時分の写真から死後カメラから見つかったフィルムを現像したものまで145点の写真が展示されていた。作風はモノクロであることと相まって全体至って端正で静謐でしかも作為的である。晩年に花を撮ったものはジョージア・オキーフやメイプルソープみたやうで特段好きではないが、日常を切り取っただけのはずなのどこか不安を覚えさせる「童暦」群はつげ義春や高橋葉介の源流のようで酷く好ましいし、勿論砂丘に人物を配した「少女四態」や「綴方・私の家族」、「モデルとゲイジュツ写真家たち」「土門拳と朝倉君」なぞもこれぞ植田の真骨頂なのであろうなぁと思われた。しかし自分が一等好きなのはデザイナー菊池武雄と組んだファッション写真群「砂丘モード」である。これはもう砂丘モードというシリーズ名のこれ以上ないような適切さに圧倒されるほかないような代物であるが、なかでも一人のモデルの複数の写真を合成した作品が時間経過に伴う影の変化と相まってマグリットのゴルコンタを思わせる端正な不安感に満ち溢れていて、実によいものだった。
幻視遊間のGITANESも勿論好きだ。
そしてまた作品群の魅力をいや増していたのが「東京ステーションギャラリー」という会場と考え抜かれた作品の配置である。
東京ステーションギャラリーは大正来の東京駅舎の煉瓦の壁を誇示するように作られた美術館である。そして煉瓦造り以外の部分は実に幾何学的且つ無機質にデザインされている。このレトロモダンな空間を黒のコートを着込んだままの鑑賞者たちが静かに行きかうありさまは、まるで植田正治の作品を現実が入れ子にしたようで、どこか不安で不可思議で、それでいて酷く好ましいものだった。
この非現実を味わいたければ、1月5日までに東京ステーションギャラリーに行くとよろしい。多分ほんとうに好きな人しか来ないだろうからそう込むこともないだろう。

おまけ

東京ステーションギャラリー階段ノ図
stationgallery1.jpg


ミュージアムショップレジ背後ノ壁
stationgallery2.jpg

生誕100年!植田正治のつくりかた
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非公開コメント

ふくちゃんさま、あけましておめでとうございまっす!

今年もよろしくお願いしまっす!

というわけでですね、そーなんですよ、植田先生の光画展やってたんすよ。
しかももー東京ステーションギャラリーっつー絶好の立地で!
よく鳥取と間違われる島根…あ、逆か、鳥取出身らしいっすね!
よしだくんポロシャツ、息子が愛用してます!(着なかったら取り上げようと思ってたので想定外)
ありがとうございました!

では!
ネコタ斑猫 拝

No title

ありゃ、パソコン不調でしばらく覗いてないうちにこんな素敵な情報が。先に読んでたら先の金曜日に東京行ったときに立ち寄ったのに。大山の麓の植田正治写真美術館もこぢんまりといい感じですよー(ちなみにうちから一時間ちょい)。
プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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