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オパールの原石。

鉱物が好きだ。
カットして研磨したものよりも、石ころに紛うような原石が好きだ。

そんなことを言うと、女性には大抵異な顔をされる。

「磨いたものの方が綺麗じゃない」

尤もだ。

だが、自分は、自身でも動機はよくわからないけれど、ただひたぶるに原石が好きだった。

原石は、結晶化するときに原子分子が丹念にならぶ、そういう物理的な法則性をわかりやすく体現している。

だから好きなのだろう。

そんなことを漠然と思っていた。

昨日、鎌倉の鉱物やさんでごく小さいマダガスカル産オパールの原石を500円で買った。

オパールにも、赤いもの、オレンジのもの、白っぽいもの、多々あるが、水を貼った器の中にさざれ石のようにあけてあるのを全部検分して、全長1センチほどながら、透き通っている中に緑のきらめき(注意深ければオレンジも)がよく見えるものを選んだ。

そうして、オパールの保存法にならい、随分昔に東急ハンズで買ったサンプル瓶に水を張り入れたものを、美しさに見蕩れ飽かず眺めていた。

そのうちに腑に落ちた。

私は、多分、これを、この石ころを、この輝ける凡庸を見つけた最初の心の高揚に近づきたくて、原石を愛しているのだなぁ、と。

このオパールは正直大きくはない。
削ったらピアスにもならないだろう。
周りは普通の石に舟形に囲われて、その船の内が透明で、見る角度を工夫すると漸う緑のきらめきが見える程度のもの。
俗的に言えば、「価値のない」ものである。
だから500円であったのだろう。

それにしたって。

例えばまだこんな美しさを知らない原初の人々がこれを手にしたとして。
こんなものを見つけたときの高揚はいかばかりか。
どんな稀少貴重を手にしたと思うか。

そんなような高揚は、象られ磨かれ値付けされ高慢に居鎮まるあの高価よりも、美しさをわかりづらく抱きながら押し黙っている石ころのほうが、よほど伝えられると思うのだ。
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ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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