珈琲店のこと

 この頃の珈琲店に静寂がないのは客を呼ばうからだろう。ふるいいいぐさだが、喫茶店特有の侵しがたい静寂は、ウェイトレスが客に品物を運んで呉れることによって成り立っていた。今の珈琲店は、静寂のかわりに、合成樹脂のトレーのぶつかり合う音、エスプレッソを抽出する音、頻々と出入りする客への掛け声、品物の仕上がりの告知宣言とに満たされている。ここに客の話し声笑い声、BGMが加わると、常の騒音レベルは一体何dBなのだろうと不思議になる。加えてウェイトレスはスタッフさらにはキャストという肩書きを得て、客の動向を待つよりも積極的に場を演出する側に回った。こうなると珈琲店が賑やかな場所にならないほうがおかしい。ではもし私が静謐を求めようとしたら何処を訪ねればいいのだろうか。こう考えるに至って、名曲喫茶の注意勧告に替えて美しい旋律を以て発話を控えさせる手法こそ、古いけれども美しい妙案と思われたのである。
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実は…

以前、宿坊にに泊ってみたいと思い人から教えていただいた宿坊を色々調べているうち「私の子供を守るのは…」さんのblogを拝見したのでした。無量光院さん良かったですよ。そのキッカケでちょくちょくblog覗かせていただいてます。私のお店は大阪狭山市にある「カフェ雨傘とコデマリ」って名前です。
http://kodemaricafe.blog48.fc2.com/

コデマリカフェ

ども、コメントありがとございました!
自分普段はめったにそういうとこ行かないんですけども
こないだひっさしぶりにエクセルシオールカフェ行ったらその喧しさに筆も止まりまして
コレは一体どうしたことだ? と考えたところ
このような結論に行き着きました。
これがおそらくふるさびた喫茶店が未だに命脈を保っている理由なのでございましょう。

コデマリカフェはカウンタのみ8席なんですな。
確かに距離が難しそうです('A`)
でも静かではありましょう(*´∀`*)

いつかコデマリカフェに出会うことを思いつつ

ネコタ斑猫 拝

はじめまして

いつもながらものすごい洞察力ですね
私はカフェ一人(8席のみ)経営しています。お客様との距離が近すぎるのでこれまた難しいです
プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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