BankARTStudio NYK で開催中のマンガ・ミーツ・ルーヴル観てきた

「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の複製原画はアキバでやってたウルジャン祭りで観たんだが
もともとの展覧会で同時に展示されていた他のバンド・デシネ(フランスのマンガを指すらしい。「デッサンの描かれた帯」の意)についても確認したかったので
改めて横浜桜木町はBankARTStudio NYKに足を運んだ。

先ず伝えたいのが
建物とその立地のすばらしさ。

当初はBankARTの名のとおり第一銀行の建物を利用していたのが
現在は
日本郵政博物館の港湾倉庫に移転。
建物は三階建てで、一階にマンガ・ミーツ・ルーヴル展示と喫茶とミュージアムショップ、二階に大野一雄の世界展の写真・ビデオ・新聞等資料展示、三階に同特別展用の舞台が設けられていた。
喫茶室の雰囲気が大変よろしい。飲み物は珈琲紅茶200円からアルコールまで揃えている。食べ物はケーキの他550円大盛りおでんというのもあり全体値頃である。
喫茶室奥のガラス戸からその昔荷物の積み下ろしをしたのであろう運河のある裏庭に出ることができる。
裏庭左手にはバスを改造したバー、スプラウトを栽培する函、正面にはレンガ造りの調理台、右手に屋台的な長テーブル。
建物に沿っていくつかのテーブルセットが据えられている。
ここでの喫茶は絶品だ。
海と川の入り混じる場所、そのにおい。向かいには赤レンガの時代がかった建物。右手向こうには橋が見える。青い空、灰色の叢雲。
是非足を運んで欲しい、美しい場所である。

さて。
同展覧会で1ツのマンガと4ツのバンド・デシネを観て思ったこと。

日本のマンガ―つまり露伴荒木先生のマンガだが―は、工芸品である。

ニコラ・ド・クレシー「氷河期」はペン書きに薄い彩色
マルク=アントワーヌ・マチュー「レヴォリュ美術館の地下」は強いコントラストを覚えさせる黒インクでの元絵にトーンをCG処理して出力したもの
エリック・リベルジュ「奇数時間に」はごく浅く彩色した下書きと相当CG加工して出力したものを並べての展示
ベルナール・イスレール「ルーヴルの上に広がる空」はセピアの地にペンで線描きパステルでハイライトを漬けるという伝統的なデッサンの手法で描かれたようにみえて実はCG(製作工程のビデオ放映有)
という中で
こと荒木先生の露伴の作品において
資料写真の複写とその切り貼りの多用、またトーンもひどく目立っていた。
切り貼りは実に巧みであり
それゆえになお他の作品に引き比べて
「工芸品」という印象を強くしていた。
これはおそらく出版形式の違いによるのではないか。
思えば月刊なり週刊なりのペースであれだけの
「絵」
を生み出すというのは、大変なことである。
おそらく
「バンド・デシネ」
の作家たちには、それほどの「工作」の必要がなく
それゆえに、切り貼りや修正の跡が目立たなかったのではないか。
そうして、荒木先生も、
十分に「作品」として挑むだけの時間を持ったなら…
あれほどの匠の技を駆使せずともよくなるのではないか。
そんなことを思ったのである。

なんつって、実は他の作家さんたちの作品、
実は全部
切り貼りしたものを
「入力」
して
「出力」
したモノだったら上記考察はビタイチ意味を持たないんだけれどもねェ~。

いずれにしても私は荒木先生の
「多作」
に対する
「覚悟」

それほどに効率を極めた作画であるにも関わらず
他のバンド・デシネに微塵も見劣りしなかったという点に
深い愛着と敬意とを覚えたのである。

というわけで
これほどに多作を求められる状況下で
それでも文化たる日本マンガ、それを支える漫画家の崇高なる覚悟ッッッ!
を実感したい方、そしてまた
マンガが「第九の芸術」と呼ばれている国で
マンガ家はどのように作画しているのか?
を見分したい方、
マンガ・ミーツ・ルーヴルに是非お越しを!

会期:2010/12/6-12/17

「マンガ・ミーツ・ルーヴル――美術館に迷い込んだ5人の作家たち」横浜巡回展

(因みになぜかBankARTStudio NYK公式サイトにはこの特別展についての告知が見当たらない。どうなってるんだろう)
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