小学校卒業した子どもと再契約した。

人生には嘘でもいいから希望が必要なのである。
だがこれから思春期を迎える息子を持つ母親が惨状を相談しても
「これからもっと大変になるよ」
という
非常に適切だが残酷な言葉が返ってくるばかり。
「嘘でもいいから希望を下さい」
とかちみちみ考えていたが
人に嘘を強要してはならないということ
希望は自分で作ればよいということ
に気づいた。

以下、母親である私の希望のための再契約文書である。


小学校卒業にあたって

まずはおめでとう。君の言うとおり、お父さんのいない中で、君自身の心の中で、色々な悩みや葛藤があったと思います。お父さんがいないことは揺るがせない現状であり、その中でもお父さんはあなたのことを気にかけていること、お父さん方お母さん方のおじいちゃんやおばあちゃんが居てやはり気にかけてくれていること、そうしてお母さんもまたあなたのことを気にかけていることを忘れないで下さい。そうしてその中であなたがやりとげた成果、塾での立派な成績、あなたが多分望んだわけではなかった美術方面での高評価、身体能力の素晴らしさなどは、あなたがお父さんとお母さん、更にはその祖先から受け継ぎ、疎かにせずあなたが開花させた素晴らしい成果です。おめでとう。あなたは多分これからもそうやって他の人より優れたところを発揮し続けることと思います。それはあなたの宿命です。あなたはやればできるということを既に学んでいますからあなたのそういう秀逸はずっと続くと思います。できるならそれで人を助けてください。頑張れとは言いません。好きではない言葉ですし、あなたはもう頑張ることを知っているからです。
お母さんは今あまり情況がよくありません。普通のお父さんが頑張ってこなす程度の仕事をし、お母さんの仕事もしています。そもそもが無茶です。そのわりにはよく保っています。あなたは私に向かって努力が足りない、向上心がないといいましたが、体と心とがぼろぼろになっている状況では、仕事を続け、家事をし、子どもたちと向きあうということだけで既に相当な努力を必要とします。それを理解して下さい。向上心についてはお母さんは未だに勉強を続けています。難しい本を読み英語を学んでいます。それを向上心とみなさないなら、それは個人の見解ですが、あなたがどのような向上心を持っているにせよ、体と心とがぼろぼろになっている状況の中で、何かを学び続けている人間に対し、向上心がないということだけは言ってはなりません。そしてまた人間は生きている以上常に何かしら試され続けておりそれを克服するために既に向上心を強要されています。全ての人間は生きているだけで向上心を持たざるをえないのです。それはたとい毎日自殺を考えている人も同じです。自殺ということが自分以外の何かを向上すると思っているからそれについて考えるのです。殺人であっても同じです。結果が間違っているとしても、自分の現状の変革をのぞむという形では変わりが無いのです。だから、自分が向上心を持とうとすることは結構ですが、人には指摘すべきではなりません。肝に銘じて下さい。上昇志向については、今より上に行こう、今よりよい暮らしをしようという気持ちははっきりいってお母さんにはあまりありません。なぜならお母さんは今の体と心の状況の中で望みうる十分よい暮らしをしていると思っているからです。上昇志向と向上心とは違います。もし君が上昇志向を望むなら、再三言っていますがお父さんのところにゆくとよいでしょう。あなたの望む上昇志向がそこにあります。ただ自分の身の丈に遭わぬ上昇志向は身を滅ぼすというのは私が常々実感してきたことです。どちらを選ぶかはあなたの自由です。
お母さんにはあなたを育てる自信がありません。なぜならお母さんにはあなたに勝てる腕力がないからです。あなたがお母さんを殺すのはお母さんがあなたを殺すより遥かに容易いことです。そうしてお母さんはあなたの暴虐を日々目にしています。多分あなたはお母さんとコミュニケーションを取りたくないと思っているでしょうが帰りたくないと思ったことはないと思います。あなたは家で基本的に好きに振る舞っているからです。お母さんは家に帰りたくないと何度も思っています。あなたに暴力を振るわれることが怖いからです。第二子と争っていきなり殴った光景は今でも忘れることはできません。私はあのとき、ただ料理の準備をしていただけでした。
人は弟に暴力を振るうべきではなく、子どもは親に対して少なくとも養ってもらっている限りはある程度の敬意をはらうべきです。そうして、生活習慣を身につける努力をしなくてはなりません。
もしそれがどうしても理解できないなら、お父さんのところに行って下さい。今のままではこの家は不幸になります。お母さんにあなたに対向する術がなく、それでもお母さんがあなたを育てようとしたら何かあったときに昨日よりももっとひどいことになることは目にみえています。それは未然に防がなくてはなりません。防ぐ方法としては、あなたがもう少しだけお母さんの言う事を聞くか、あなたがこの場所から立ち去るか、どちらかです。
お母さんの言う事とは極めてシンプルです。
ゴミをきちんと捨てる
服はかける
使ったものは元に戻す
部屋を綺麗に使う
いわれたことはごまかさずやる
嘘をつかない
弟に暴力を振るわない 自分の心がいらついていると思うときは誰にでもあるので、そういうときは自分の部屋に居る
ものや家を壊そうとしない
連絡事項はきちんと伝える 特に学校と塾のプリントはもらったその日にきちんと出す
決まった時間になったら必ずお母さんが命じた勉強のための時間を割く
お母さんには喧嘩している時でも乱暴な言葉を使わない
これだけです。これさえしていれば、お母さんはあなたの色々な努力を知っていますから、あなたに対して出来る限りの助けをします。必ずです。それからできれば、お母さんとあなたの心の調子がいいときには、楽しいことを話せればいいと思います。
中学生から高校生にかけては、誰もが脳みその発達過程で難しくなる年頃です。親と世間に不具合を見出し、自分をどうしてよいのかわからなくなる時期です。そういう中でお母さんは、あなたをどうすればよいのか悩んでいます。あなたはとても素晴らしい才能を持っており、それを現在も十分に開花させています。それを伸ばすなどとえらそうなことはお母さんには考えられません。ただ、あなたの才能が開花するのを邪魔せず、たまにそれを手助けできれば上等だと思っています。
ただ、あなたの才能を邪魔しないということと、あなたを邪魔しないというのは全く別のことです。あなたに悪い習慣が見つかればお母さんはあなたの悪い習慣を邪魔しなくてはなりません。お母さんの言葉を疎かにしてゲームに夢中になったり平気でお母さんに反抗したりするあなたを注意し阻止しようとするのは、あなたの才能を邪魔しているのではありません、あなたを邪魔しているのでもありません、ただ、あなたの悪い習慣を邪魔しているだけです。悪い習慣は直さなくてはなりません。そこを勘違いしないで下さい。
あなたが何を選ぶかは、あなたの自由です。そうして、あなたが上記を了承しなければ、本気でお母さんはお父さんにあなたを委ねる気があります。なぜならあなたが言うとおり、このままの状態であなたがここにいることを選んだら、あなたも、そしてお母さんも壊れてしまうだろうからです。けれどもあなたは多分、お父さんのところに行くのは損だということを察しています。だからここに居ようとするのです。けれどもこれからもここに居ようとするならば上記のことを守り、そしてこれからもあなたに出てきた悪い習慣を邪魔する権利をお母さんにゆだねなさい。

認められたらサインをしなさい。認められないならサインはしないでください。お父さんのところに移れるよう手続きをします。


卒業式の前夜大喧嘩し、撲殺をほのめかされた。
次の日の朝はやく目がさめたので三十分ほどで書きあげ
予定より十分早くたたき起こし読ませ
「二回読め。
同意出来るならサインしろ」
とやったらサインした。

これからも大変だろう。
だがとりあえず、第一子に自分が今思うところを伝えられたこと、
それを第一子が認めたことで、
私は私の明日に希望を持つことができる。


ガデュリンさま、記事の紹介ありがとうございました。
駄文にゅうすさま、記事の紹介ありがとうございました。
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直しましたァァァァァン!

ありがとうございました。

ネコタ斑猫 拝

えーと、取り急ぎ。
本文中に、第二子くんの名前が出ちゃってますが、大丈夫ですか?
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ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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