9月9日創刊別冊少年マガジンから今は亡きオカルトコミック「メディウム」のにほひがした

その昔
高橋葉介「夢幻紳士 怪奇編」
仲村計「飛天霊異譚」
JET「綺譚倶楽部」
飯田耕一郎「邪学者姫野命シリーズ」
が連載され
千之ナイフ
MEIMU
らが読み切りを寄せていた
メディウム
なる徳間書店発行の漫画雑誌があった。
漫画雑誌とは言うが、体裁はB6版のカバー付きコミックである。
矢鱈艶っぽい作風と緻密な描き込み、
独特のタッチから来る異様な画面の昏さが
当時黄金期であった恐怖マンガ雑誌とも
現在黄金期である剣と魔法のファンタジーとも異なる
独特の雰囲気を醸し出しており
「怪奇と幻想」の肩書に相応しい作品集であった。
昨日創刊されたばかりの別冊マガジンに掲載された三作品が
かのメディウムに代表される
古き良き時代の「怪奇と幻想」を継承しているように思われ
どうにも懐かしかったもので
ここに紹介することを許していただきたい。

先ずは石沢庸介さんによる混沌魍魎青春事変「超人学園」より。

chojin1.jpg
chojin2.jpg

ヒロインに於けるかなり正しい今風(と敢えて言おう)の萌えキャラ造型、
主人公に於ける「超・主人公体質」の自覚、
言わばファンタジー飽和時代特有の物語に見られるメタ表現が全面に打ち出されているにも関わらず
執拗な描き込みとコマ割り
が実にあの頃メディウムを彷彿とさせる。
あとこの数コマを見ただけでも
会話のテンポが異常にいい
ことがおわかりいただけるだろう。

次は阿部洋一さんによる「バニラスパイダー」より。

spider.jpg

キャラクターはネウロ世界に紛れ込んだテガミバチと毒の抜けた土方十四郎っぽい感じだが
物語世界に合ったやや単調なトーン使い、やはり執拗な描き込みと異様なタッチ、非日常的な異物の造型などは
やはり実にあの頃メディウムである。

最後に記伊孝さんの「天使のトビト」より。

angel.jpg

まぁこの顎細く後頭部が張りだしておりながら頸の細い造型は
メディウムというよりリュウというほうが相応しいのかも知れないが
やはり剣と魔法に至らない、怪奇と幻想の古き良き名残を色濃くとどめているように思われるのである。

いちばん新しい冒険の書! と銘打ち
新感覚ファンタジー創刊とぶち上げた。
その中には
貧乏萌え四コマ
「お前らが学校でやらかした犯罪を告白しる」っぽいの
剣と魔法のファンタジー
などがあったが
個人的には
蓬莱ガールズ

楽しそうに絵を描いてること
設定がイカスー!
という点で面白く読ませていただいた。

あとはまぁいつもの久米田節ってことで
ここらでアタシは単行本がコワいってなっちまうんだが、
アレだ、久米田節ととらドラのヤスさん、
素でいい、実にいい。

あとはもちろん
のっけからページ数惜しみなく使ってガッツリ泣かせてくれた
雷句誠先生の「どうぶつの国」なんだが
こちらアキバの店頭では
お試し読み用としてどうぶつの国一話分をまるっと無料で配布しており
てっきり本紙と同じ内容だと高括ってたら
本誌掲載分に対する「エピソード0」ということで
お得感を通り越したぜいたく感があった。
本編のタヌキがいないせいか、こちらは全体精悍である。
きっとまた子どもに読ませたい少年マンガを描いてくださるのだろう。
楽しみである。

剣と魔法に侵犯されて
「怪奇と幻想」が下火になりつつある今日
この別冊少年マガジンが
稚いながらメディウムの後継者たらんことを
一メディウムファンとして、ほんのり祈念しておく。

参考:漫画ブリッコの世界 メディウム
別冊 少年マガジン 創刊号


何やら致命的なミスを! ('A`)
訂正させていただきました。
某さまありがとーございました('A`)
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あにさま、レス遅れて申し訳ありません

> 高橋葉介作品について論じ合うことの出来る人が、自分の周りに一人しかいないもので(遠くの友人)、とても嬉しく思います。
いませんねー。うちの職場にはエヴァとガラスの仮面とスラダンを押さえてる女の子がいまして、もうそれだけで御の字ですよ。

> 以前は、話せる者がもう一人いたのですが、元ヨメでして、今や音信不通です(そりゃそうだ)。
うちも音信不通になりてぇんですが養育費を絞らねばならぬ! (落ち着け)

> なので、ここで「高橋葉介」の名を目にした時の嬉しかったこと!
> 筆舌に尽くせぬ喜びであります。
他にもぽろぽろまんが論やってますので
お付合いよろしくお願いいたします。

> >炎天下に金魚を落としてしまって
> >躊躇いながら踏みつぶしてしまう話
> 「怪奇編」にありましたね。「あとがき」で、自分が見た夢が元だ、と書かれていました。
そういやなんかおっぱいだした夢魔も出てきてましたね。

> >砂漠でどこかにたどり着こうとする夢を
> >代を継いで見る話
> 初期短編の「荒野」ですね。僕も大好きな一作です。
あれは初期の緻密ながら乾いた画面が好きでした。

> で、先日書店で「別冊少年マガジン」を立ち読みしてきたんですけれども。なかなか年寄りには厳しい世界とテンションがそこには拡がっていまして、購入は断念致しました。
そのほーがいーです。なんつーか、正直
これ本当に商業誌なのか? 大丈夫なのか?
ジャンプってなんだかんだ文句言われてるけどレベル高いなー
とか思いましたからね。マジで。

> ただ、最後の久米田康治原作のヤツは、大変楽しませてもらいました。思わず一緒に「返せー!」と叫んでしまいそうでした。この作品目当てに、毎月立ち読みしてしまうかも知れません。
最初と最後にうまいもんがあるという…逆サンドイッチ方式か? (んなこたーない)

> えー、まとまりませんが、「食とエロスと教育論」を掲げる貴ブログの、末長い継続を願ってやみません(ほんとに)。
> ネコタさん、身体にはほんと気を付けてくださいね。お願いします。
体はともかくとして、心がたまにアレなんですけども、
書くことはどーやっても辞められないと思うので、ご安心ください。
で、たまにアレなのがまじりますけども、そのあたりもお見逃しください。

では
ネコタ斑猫 拝

うひゃあ

丁寧で詳細なレスが返ってきて、恐縮してしまいました。
高橋葉介作品について論じ合うことの出来る人が、自分の周りに一人しかいないもので(遠くの友人)、とても嬉しく思います。
以前は、話せる者がもう一人いたのですが、元ヨメでして、今や音信不通です(そりゃそうだ)。
なので、ここで「高橋葉介」の名を目にした時の嬉しかったこと!
筆舌に尽くせぬ喜びであります。

>炎天下に金魚を落としてしまって
>躊躇いながら踏みつぶしてしまう話
「怪奇編」にありましたね。「あとがき」で、自分が見た夢が元だ、と書かれていました。

>砂漠でどこかにたどり着こうとする夢を
>代を継いで見る話
初期短編の「荒野」ですね。僕も大好きな一作です。

で、先日書店で「別冊少年マガジン」を立ち読みしてきたんですけれども。なかなか年寄りには厳しい世界とテンションがそこには拡がっていまして、購入は断念致しました。
ただ、最後の久米田康治原作のヤツは、大変楽しませてもらいました。思わず一緒に「返せー!」と叫んでしまいそうでした。この作品目当てに、毎月立ち読みしてしまうかも知れません。

えー、まとまりませんが、「食とエロスと教育論」を掲げる貴ブログの、末長い継続を願ってやみません(ほんとに)。
ネコタさん、身体にはほんと気を付けてくださいね。お願いします。

あにさま、コメントありがとうございました。

> 私は、ネコタさんほどの深い(そして広い)マンガ読みではないので、対等にお話しするのはとんでもないことなのですけれど、つい書き込んでしまいました。
いやいや、自分はほんとミジンコみたいなもんです。ただ高校大学の頃にがつがつ読んでただけで、メディウムも手元に残ってないんですよ。ああ残念('A`)

> 「メディウム」、懐かしいですねぇ。
> いや、読んでなかったんですけれども。
> 高橋葉介さんのファンでして。
> 氏の著作は、少なからず所有致しております。
わかります! メディウムの表紙はほとんど高橋先生が描いておられたので
看板っぽいイメージがあります。
夢幻紳士はごく初期のそれこそ記伊孝さんに似た非常に繊細なタッチの頃から
後期の「へうたん」と揶揄される体系の頃まで大好きでした。
あとあの人の短編もかなりキてますよね。
ソーセージ工場の話とか。

これは夢幻紳士だったかなぁ。

炎天下に金魚を落としてしまって
躊躇いながら踏みつぶしてしまう話とか

あと夢幻紳士じゃなくて

砂漠でどこかにたどり着こうとする夢を
代を継いで見る話
すごく好きです。

多分自分の百物語は
ああいうのを目指しているのだと思います。

> ネコタさんの例示された三つ目の記伊孝さんは、まさに高橋葉介ラインですね。
> まだこういう系譜のマンガは、継承されているのですねぇ。
初期型ですよね!
あと最初にあげた石沢さんも
物語の枠組みはかなり今風ながら
執拗な背景の書き込みやベタの多さが
かなりメディウムです。

今回あげた中では
石沢さんがこなれている上に潜在力もありそうで
オススメです。

> もう何年もメジャーなマンガを読んでいない僕も、「別冊少年マガジン」、ちょっと読んでみようかなと思いました。
ありがとございます。
でもね、ものすごく正直なことを申しますと
あの雑誌の80%は
「処置に困る」
作品ばかりです。
うちの上のコゾーに感想聞いたら
「面白かったのは? 」
「どうぶつの国! 」
「他は? 」
「どうぶつの国! 」
「いやなんかほらこうこれから面白くなりそーだなーみたいなのは? 」
「どうぶつの国! 」
という有様でした。
個人的にはやっぱクメタラインがよかったわけなんですけども。

ただ、ファンタジーと銘打った中、
昨今の「剣と魔法」だけでなく
怪奇と幻想ラインもカバーしてくれたのが
個人的には非常に有難いわけです。
今回の三作も
多分全部闘う系に言っちゃうんでしょうけども、
ほんと、夢幻紳士や妖怪ハンターみたいに
メジャー雑誌でも
闘わないファンタジー、
やってくんないかなーとか思います。

> こういう情報の思いがけない入手も、このブログの購読を止められない理由の一つですね。
> これからもネコタさんらしい情報の発信、期待しています。
> 情報ありがとうございました。
情報発信に真摯になるなら、メディウムを入手しておくことくらいしておきたかったんですけども、
やっぱりこういうのはブログならではの早さが肝心かと思い
ががっと書いてしまいました。
あと、今回の記事は、多分このブログを読んでくださっているほとんどの人にはわからない、
でももしかしたらあの頃のメディウムをご存じの方がいて
そういう方とこの印象を共有できるかも知れない
そういう非常なニッチさを覚悟して書いた記事なもんで
あにさまがコメント下さってほんとうに嬉しうございました。
こちらこそ、ほんとうにありがとうございました。

では
ネコタ斑猫 拝

ううむ

私は、ネコタさんほどの深い(そして広い)マンガ読みではないので、対等にお話しするのはとんでもないことなのですけれど、つい書き込んでしまいました。
「メディウム」、懐かしいですねぇ。
いや、読んでなかったんですけれども。
高橋葉介さんのファンでして。
氏の著作は、少なからず所有致しております。
ネコタさんの例示された三つ目の記伊孝さんは、まさに高橋葉介ラインですね。
まだこういう系譜のマンガは、継承されているのですねぇ。
もう何年もメジャーなマンガを読んでいない僕も、「別冊少年マガジン」、ちょっと読んでみようかなと思いました。
こういう情報の思いがけない入手も、このブログの購読を止められない理由の一つですね。
これからもネコタさんらしい情報の発信、期待しています。
情報ありがとうございました。
プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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