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息子よ。お母さんは、今日ほど生きていてよかったと思ったことはない。

うちのコゾーどもが所属しているサッカークラブ、以前は大変弱小だったが最近人数が増えきた。
が、第一子の学年は8人しかいない。試合に出るにはどうやったってよその学年から借りてこなくちゃいけない。
一方の五年生は13人。一学年でチーム組めるし、六年がチーム組めるだけ選手を貸し出したら自分のチームが不足するという、そういう状態。

で。
公式の大会は基本二学年で一チーム登録なのだが、中には一学年一チーム登録可能のものもある。
そういう試合に、五年生が自分たち中心で出たいと言い出した。
三年の時は現六年とチームを組んだことでせっかく遠くの会場まで行って全く試合に出られないこともあった、そういうのは納得いかない。出来るだけ試合に出るチャンスが欲しい、うちの学年は一チーム組めるんだから今年一年それでやっていきたい、という。
もちろん言っているのは一部の…いや、正確には一人の保護者。
だが前年度役員をやっており、また旦那さんがコーチを務めている関係で、他の五年の保護者は口が出せない状態らしい。

チームの監督、代表、そしてコーチ陣は、年度初めには六年生優先でチームを組むと取り決めていた。
が、年度初めの総会の後に件の保護者から要望が入ったために編成が見直されることとなり、昨年度までは年度初めに六年生に支給されていた高学年ユニフォームも支給されないまま、試合ごとに番号が割り当てられる事態となった。
このままではどの大会に出るにも毎回五年生と折衝しなくてはならないかもしれない、と事態を重く見た六年生の保護者連は、代表・監督・コーチに状況を確認しに行った。
と、監督・代表・コーチらは何度も話し合いを繰り返す中で、
一学年一チーム登録可能な大会については六年生10名五年生11名でチームを編成する
が、それは二大会のみである
二年前にも同様の選手数だったことがあり、その際は六年生10名五年生10名でチームを組んだ
それ以外の大会については二学年からベストメンバーを選出しての編成とする
全ての選手にできるだけ試合のチャンスを与えながら、最終学年の選手を尊重してゆくのがうちのクラブのスタンスである
という結論に至ったとの報告を頂いた。

この結論を六年の保護者連の多くは是としたのだが、これに納得できない保護者も居た。
古い考えなのかもしれないが、こういう場合は上級生を立てて当たり前なのではないか。
また監督や代表についても、年度初めに六年生優先でチームを組むといったのなら一保護者の要望でそれを覆すべきではないのではないか、これでは監督や代表を信用できない、という。

それはその通りだ、だがそれは既に常識ではなく良識である。
多分チームのほとんどの保護者がそういう考え方に賛同しているし、中学高校ではそもそも各学年単位で動くことなぞありえないことも多分承知しているだろう。
だが良識は誰もが持ち得るものではない。既に持っていないことが明らかである相手に期待することは無意味だ。
また件の保護者は夫婦でクラブに貢献してくれている。そうであればクラブとしてもないがしろにできないというのは理解できる。
それよりも監督や代表、コーチが多くの時間を割いて話し合いそもそも人数が足りないという絶対的不利な状況にある六年生を大切にする形で折衷してくれたことが有難い。
むしろこういう形に落としてくれたということこそ、監督や代表、コーチが信頼できるという証拠なんじゃないか。
そう説得を試みた。

が、それでもその保護者は、
子どもともども納得いかないし
昨晩はどうしてフルメンバーで出場できないのかと子どもが悔しがって泣いた。
だから子どもが監督に、
どうして最初は六年生優先と言っていたのに覆したのか、
どうして自分たちは例年と(正確には昨年と。昨年は五・六年合わせて一チーム強だったから二学年単位で動いていた)同じようにしてもらえないのか、
聞くかも知れない、という。

私は、
もしそれをしたら、私たちが件の保護者と同じになってしまう。
こちらはどうしたって人数が足りない。やはり選手を借りる立場であるのは変わらない。
そうして、件の保護者が孤立しかけているという話も聞いている。
また、そういうわりと非常識な要望に対しても、監督・代表・コーチが何度も話し合いをしてようやく折り合いをつけてくれたわけで。
もしここでまだそれに不満を表明し覆そうとしたなら、その努力全てを無にすることになる。
それはつまり件の保護者と同じことをするということだ。
もし私たちがそれをしたら、もし今度同じようなトラブルに見舞われたとしても、監督・代表・コーチは私たちの側についてくれなくなるかもしれない。
今回ベストメンバーで出られないのが残念だというのはわかる。でも多くて二試合で済むのならいいじゃないか。
近眼にならず、政治的な力関係を考慮し、監督・代表・コーチに対する敬意を大切にしながら、件の保護者に逆風が吹くのを待とうじゃないか。

そんなことを話して。

帰ってから、第一子本人に
「今回の試合、9人で出るのどう思う? 」
と聞いてみた。
「普通は何人で出るの? 」
と聞かれた。
「11人だよ。」
と答えた。

第一子、暫く
「あいつがセンターで、あいつがディフェンスで…」
とコタツの天版の上で何やら算段した後、
「うん、なんとかなる」
と言って顔を上げた。
「多分大丈夫だよ。フォーメーション組めるよ」
「そうか、よかったな。」
「あ、○○来るかなぁ、あいつ上手いから来てくれるといいなぁ」
○○とは件の保護者の子どもである。
「おお、○○うまいのか」
「うん、すっごくうまいよ。でも○○が来たら△△残念がるだろうなぁ、ポジションとられちゃうからなぁ」
実に楽しそうに話している。

ああ、そうだよなぁ。
保護者は保護者、選手は選手。
選手たちには選手たちのフィールドがあって、それは保護者の事情によって汚されるもんじゃないし、汚すべきもんでもないんだよなぁ。

そう思いながら。




「お前、ほんとのところ、フルメンバーで出られなくて悔しくないの? 」
と聞いてみた。



「だだこねるくらいだったら、作戦考えたほうがいいじゃん」
まるでなんでもないことのように、第一子は答えた。




息子よ。
お母さんは、今日ほど、生きていてよかったと思ったことはない。
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七氏様、コメントありがとうございました。

お返事遅れまして申し訳ありませんでした。
同じ六年生の保護者のお母さんがいまいち納得できなかったみたいだったもんで一旦記事を取り下げてしまったんですが
今日連絡ついでに話をしたらあなたが止めてくれてよかったよーという話になったので
安心して改めて公開することにしました。

> いい子だね
> とても健全な思考で
> 普段の親の行いがその結果を導くんだろうね
> うらやましいというか
> 実にさわやか
ありがとございます、恐縮です。
親はみなそれぞれの子どもを大切に思っているのに
それゆえにこじれてしまうというのが不本意でなりません。
五年生の保護者間では予想通り溝が深まっているようで
選手たちは親の思惑など関係なく力を合わせて戦いたいだろうにと思うと
力不足が悔やまれてなりません。
とかいいつつ面倒なので件の保護者さんには関わりたかぁないというのが本音です。
すまぬ…すまぬ息子よ…!

では、コメントありがとございました
ネコタ斑猫 拝

いい子だね
とても健全な思考で
普段の親の行いがその結果を導くんだろうね
うらやましいというか
実にさわやか
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ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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