木屋のラジオメーター

radiometor.jpg

ラジオメーターは、中にごく薄い黒雲母白雲母を張り合わせた羽根車を封じたガラス玉という態の繊細なる鑑賞科学玩具である。光を当てると黒雲母の方が少しく膨張、その膨張の力で吊られただけの羽根車がくるくると回りだす。中の空気の密度は外よりやや薄いらしい。それでよく回る。
光エネルギーだけで回っている様は中々に優美であり、まるで宇宙の永遠を垣間見たようだ。
ただし難しい作りなだけあってどれも一万前後、一体どのような用途に使うのであろうか? と店長さんに尋ねてみたところ
回り続けるので還暦のお祝いに使う方がおられる
ハウスメーカーさんが遮光ガラスを導入したとき、どのくらい光を通すかを簡単に判定するために使われた
という話であった。

木屋そのものもモダンながら歴史ある店舗、中に入るとぐるりと中央に包丁ナイフの抜き身が居静まっている。右手にあるステンレスざるなど小物類を横目にしながら奥正面の階段を上がると踊り場に刃物供養のさい銭箱、左手に刃物の歴史その他にまつわる文物があり、そんな台の上にラジオメーターは少し宇宙的な様子で吹き抜けを背に人待ち顔であった。写真撮影の許可を頂くと店長さんわざわざ上に来てライトを強くあててくださり、それでここにある小さいものも大きいものもみな一方向にくるくるといかにも科学実験らしい端正な速度で軽やかに回った。多分このためにこそ用意してあるだろう白熱電灯の圧迫感のある放熱といい、まったくもって、私は幼少のころに過ごしたあの木造りの少しくらい理科室でのことを思い出すことになったのである。

今は木屋祭り真っ最中、自分は初日に行って出刃と研ぎ石を買ってしまった。ああ愛しい包丁たち。私はお前たちを心から愛している。

木屋
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じゃでさま、コメントありがとうございました。

喫茶木屋も行ってみたいですなぁ! 木屋は職場から歩いていけるんですよ。今度歯毀れした牛刀研ぎに出してきます。
爪切りも多少安くなってましたよ! 爪切りは消耗品なんだそうで、鈍ったら新しいのを買わんとあかんのだそうです。次は木屋だ! ともくろんでおります。
では
ネコタ斑猫 拝

ガラス製品っていいですよね。きれいだし、壊れそうで儚げな存在感がなんともいえない。
そういえば、前回(4年前)の展示会で、ガラスをテーマにしたコーナーを作ったっけ。

喫茶木屋の定休日が土日祝なのがとても残念です・・・。ニッパー爪切は欲しいけど、気軽に手が出ませんね。
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ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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