高野山宿坊二種 第一部 無量光院編

二泊する序に二つの宿坊に泊まることにしたのだが、いやまぁ想定以上に宿坊というのは宿坊であり、さらに同じ宿坊であっても各々の経営方針によって異なっておるのが判明して実に面白かった。

以下所感を記す。

初日 無量光院
宿坊研究会他で調べあげたところ、略式でないお勤めをやっているのはここだけだとのことで決定した宿坊。成程一時間半みっちりあるのだがそんなことがまるで気にならない仏契(ぶっちぎりと読んでいただきたい@悟空道)にカッコいいお勤めであった。お勤めは6時に始まるのだが、お堂が非常に暗いところに煌々と輝く蝋燭とその熱による空気の揺らぎ、密教系列なりの非常に煌びやか且つ荘厳な装飾、ぐるりを時代がかった位牌が取り囲み、左手手前が護摩壇、左手奥が祭壇、右手の壁沿いには腰掛けがずらりと並び、一般参加者はそこに参ずるようになっている。この日お勤めをなさったお坊様は四人であったか、三人が祭壇に座し一人は護摩壇に、あと一人作務衣の若く美しい女性が扉近くに控え椅子を出してくれたりさまざまな心配りをして下さる。お勤めは実に朗々とした声明から始まる。ただの読経ではなく、キリスト教であればゴスペルに相当するような非常にハーモニックで神秘的な合唱である。先導する方がホーミーのように二重声であるようにも思われたが或いは勘違いであり或いは反響であるかも知らん。これに小さなシンバルや鐘のような打ち物が要所要所に入る。
そのうち護摩焚きが始まる。初めは小さな炎が木片をくべる内次第に大きく燃え盛る。さまざまな粉や恐らくは蓮の葉などを手順に従って加えてゆく。粉はそのまま火の粉となって中高く舞い上がっては消えてゆく。この護摩焚きが実に神妙で秘術的であり何か精神的なるものを求めてこの地に辿りついた私のような者にとっては深く満足のゆくものであった。
その後お坊様の導きに従い、左手奥一番手前にあるお太子様の像に白湯を差し上げる。ヨーロッパ系の上背あり端正な面立ちのお坊様が案内して下さり、言われるがままに茶碗を持ちお坊様により注がれた湯を捧げる。なんかそのあと焼香したような気もするが忘れた。
そうして次に供養祈願を依頼した方の名前が個別に呼ばれてゆく。最後に法話があって、おしまい。
とまぁ二日目の朝に体験したお勤めから始めてしまったのだが、もうそのくらいなんとも快い体験であった。法悦とはこのことか、と宗教に鈍い自分も感じ入った次第である。

というわけでお宿としてのご紹介。
無量光院の由来書きなどは宿坊ネットや宿坊のサイトを参照していただくとして、とにかくこのお寺こじんまりしている。別段規模が小さいというのではなく、若い修行僧の方々をはじめとしたお寺さんとと客との距離感が近しいという意味でこじんまりしているのだ。それでもって大変静謐だ。何しろテレビがない。夕刻五時ごろなぞは耳が痛くなるほどの静寂である。
と思ったらふるい建物なもんで人の足音や話し声がすげー響く。静謐なのは夕刻のみ、布団敷くために行きかう修行僧の足音も多分隣室の更に隣室の話し声も確かにここまで届いてくる。多少閉口した。
んが、そんなことより仏契でびっくりしたのが、これだ。

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トイレが男女共同だー!

これには正直驚愕した。だって部屋にトイレついてねんだもん。いやいやなんの、宿坊に泊まるのは善男善女であるからして、トイレなぞ共同であってもどうということはないのでござんしょう(意味のわからない理屈)。
つか高野山の宿坊について結構調べたつもりだったのだがこの件が書いてないのはどうかと思う。結構大事なことやないんかい。それとも皆さんこれがフツーなのか? ヘーキなのか?
まぁ結局滞在中に殿方とバッティングしたことはございませんで無問題だったのだが。なんとなく気まずそうなので避けたいというのはあるやね。

んでものすごいレトロな洗面所。

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これはむしろ私は好きだ。水も実に冷たくてよい感じ。

さて、お部屋について。

自分が案内されたのは六畳間に四畳の玄関があるお部屋。

玄関。
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なんか貞子の映りそうな鏡がありましたが別段気になりませんで。
お夕食はこちらでいただく。

お部屋。

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ものすごい好きな感じの軸がかかっていた床の間。

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あと部屋の鍵。

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セキュリティについては、部屋にパスワード自己設定方式の金庫があって安心です。

で、最初にご用意していただいたお茶と菓子。カステラうまうま。

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わりと大胆な茶葉。

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お夕食。

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以下備忘より。
椀 とろろ昆布入り茶そば 温
おこうこ 奈良漬 柴漬
松茸佃煮 芥子の種
蒟蒻三種 膾 生麩 酢味噌
胡麻豆腐

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茗荷と胡瓜と春雨の酢の物
蓮根、人参、茄子、ピーマン天麩羅
高野、隠元、椎茸、鳴門の煮いたん

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なぜかまた松茸佃煮 芥子の種
生麩の田楽 田楽味噌と柚子味噌 金柑の蜜煮
バナナ ぶどう

というような次第であった。
味は緩急ありどれも大変美味しかった。中でも松茸の佃煮の鮮やかな香気と枝つきのままの金柑の蜜煮が印象に残っている。

朝食。

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これについては見ての通りなのだが、真ん中の佃煮が豆腐系なのか麩系なのかよくわからなんだ。というよりお夕食で出た佃煮が松茸とわからず大変悲しかった。すげーおいしいんだけど何の香りなのかわかんないんだもん(´・ω・`) もうだめだ。

お泊まり手順。
メールにて予約。
4時ちょい前に宿坊に辿りつく。玄関近くにお坊様当直ルームがあるので適宜声をかけるとお部屋にご案内していただける。ラフなかっこした若い修行僧がわらわら居て感銘を受ける。
お部屋に入るとお茶とお菓子を用意して下さる。そうして供養祈願の注文とりの序に宿帳に記載する氏名を書かされる。
6時ごろ夕食。お夕食の用意をしてもよろしいでしょうか、と尋ねていらした後先に紹介したような膳が運ばれてくる。
風呂はお坊様によってなぜか違うのだが10時まで派と12時まで派があった。どっちやね。四人位で入るとちょうどよいこじんまりした風呂。リンスインシャンプーと石鹸はあったと思うが持参したのを使ったのでようわからん。あとバスタオルの備えはない。旅路にお勧めのバスタオルはこちら。うすっぺたくて大変よろしい。
歯ブラシとタオルは風呂の手前にある。同じく風呂の手前に水道方式の洗面所もある。でも雰囲気があるので自分は朝も手水式の方で顔を洗ったよ!
お夕食を下げていただいた後、8時位に布団を敷きにしてくださる。いやもう少し早い部屋もあった模様。
その後勿体ないことに自分は玄関の灯りを消してしまったのだが、どうも点けているとお坊様が夜伽にいらしてくださったらしい。本来の意味での伽話、西洋人のご夫婦の元には英語のできる修行僧の方あるいは西洋人の修行僧の方が参じてよもやま話やら宗教談義やらをなさっておられた。こちらは疲れて横になっていたのもあったがちょっと羨ましかった。うーん、カソリックの教会とも積極的に親交なさっておられるお寺のようだし、クリスチャンであることが息苦しくて仏教に傾倒しかけている自分のようなものはむしろ対話すべきだったんだろうなぁ。実にもったいない。節電心がけすぎた。正直また行って今度はちょっといろいろお話させていただこうと思っている。今度は雪の季節がいーなー。さみーだろーなー。喉やられるだろーなー('A`)
翌朝は6時からお勤めなので5時過ぎ(つまりいつもと同じ時間)に起きて身支度。お勤め終わってから今度は六畳間にお膳を持ってきていただいて朝食。

で、会計は12000円也。出る前に時機を見てお支払。

吃驚したこと
どの洗面所にもコップがない。
若い修行僧の方々、結構な粒ぞろいである。尼さん(剃髪してない)もはっきりいってかわいい。マジマジ。想定以上にえらいことになってた。
茶っ葉どこに捨てたらいいかわからん。飲み残しもどこに捨てたらいいかわからん。
住職が朝のお勤めにおられず、なんでも朝早くにカソリック教会との親交のためにイタリアに発たれたとのこと。
なんか宿坊度が高い。
外国人が多い。
蚊がいない。
すげー涼しい。つか寒い。
精進料理はうまい。
テリア的なわんこがいる。
レアっぽい本がある。

というわけで、初日に泊まったからというのでなく、非常に宿坊度の高い宿坊でした。何より朝のお勤めがほんとにいいです仏契です。あと修行僧の方々の修行っぽさもいい! (意味がわかりません)みんなこんなじゃねぇの? というあなた、明日にはもうひとつの宿坊についての記事をあげますので、そちらをお読み下さりませ。
以上、高野山宿坊紹介無量光院編でした。

関連記事:高野山の旅を楽しくするための30のTips



nni's blogさま、記事の紹介ありがとうございました。
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    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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