こんしゅうのおそうざい

味噌汁

独活と榎茸と油揚げの味噌汁
独活は皮を剥かずスライサーで繊切り、榎茸は石突きを抜いた部分を半分に、油揚げは半分にしてから刻む。
圧力鍋で一分低圧をかけたら自然に冷まし、甘めの米味噌を溶き入れる。
圧力鍋が細胞壁を破砕し榎茸の佳い出汁が出る春の味。

副菜

ほうれん草の湯がいたの
めんつゆとごま油と塩胡椒で浅く調味。

三浦大根葉の豚ひき肉炒め
大根の葉っぱは固すぎる先のほうを落としざく切りにし圧力鍋低圧で殺戮。糸こんにゃくもざく切り。豚ひき肉をそぼろに炒めと糸こんにゃくをごま油で炒め合わせてナンプラーと醤油と塩コショウと味覇で最終調整。。

ブロッコリと人参とエリンギの蒸したの
弁当用なので小さめに切って蒸したら寿司酢とクレイジーソルトとオリーブオイルで調味。

きんぴらごぼう
ゴボウはスライサーで薄切り、人参はスライサーで繊切り、マイタケは手でほぐし紅花油で炒め砂糖と醤油と味醂で仕上げる。最後にごま油かけ回し。

蒸しキャベツ
キャベツざく切り、人参の繊切り、ぶなしめじを蒸す。やっぱり寿司酢とクレイジーソルトとオリーブオイルで調味。

主菜

月曜日
肉の杉山さんのヒレカツをうちで揚げる

火曜日
高清さんの鯵の干物 

水曜日
生姜焼き

木曜日
豚バラ肉薄切りの米麹ポン酢漬け

金曜日
鶏もも肉とブラウンマッシュルームとたまねぎのグラタン ハウスのクイックアップにマカロニ増量

土曜日
ちゃんこ鍋
鳥一さんの合鴨ハンバーグ流用の団子
キャベツ白菜ざく切り、人参と三浦大根の皮むき器スライス、ひらたけ、榎茸、魚河岸揚げ、がんもどきを醤油仕立てで。

イジョー。
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なりすましかと思った話。

上の子とのLINEでのやりとり。

正月の
( ・∀・)ノ「あけましておめでとう」
J( 'ー`)し「おりこうさんことしもよろしくね」
のあと、中旬に突然

( ゚∀゚)ノ「○○関連の株買いませんか? 」

Σ(゚Д゚;)

事案か? 事案発生か? と思い本人確認。

J( 'ー`)し「お前はほんとうに( ・∀・)か? ( ・∀・)ならお母さんが物語シリーズで一番好きなキャラの名前を言えるはずだ」

暫時。

( ゚∀゚)「・・・なんだっけ 忍?」

J( 'ー`)し「よしお前は( ・∀・)だ。改めて用件を聞こう。」

・・・というわけで、お互いの嗜好を認識していることは大事だな、と改めて実感した話というでした。

えー、んで当時は忍でしたが今では余接ちゃんです。ょぅι゛ょの死体から作られた式神でかわいくて強くて一人称が僕で無表情で「いぇーいぴーすぴーす」とかサイコー。チョーサイコー。

パラパラチャーハン、素人なんだからさ、ご飯と具を別に炒めといて後で合わせちゃいかんのか。

梅蘭の焼きそばに出会って以来、焼きそばの麺をあらかじめフライパンで表裏焼いて水分飛ばして香ばしくしとく習慣がある。
その伝でチャーハンのご飯もあらかじめフライパンにならして焼いてから炒めて香ばしくしとく。
んで別の炒め鍋でみじんの葱または玉葱、ありものの野菜類、ひき肉、チャーシュー、ハム、ベーコンなどの肉類、卵などを軽く塩胡椒しながら炒めとく。
最後に二つを合わせてフォークで削り取った粉味覇(今なら創味シャンタンだが自分ちにはまだ味覇の買い置きがあるもんで)と塩コショウ、場合によっちゃ醤油で調味、最後に油を軽く回しかけてがっと強火で炒めあげる。
これでパラパラ且つ油の少ないチャーハンが出来上がるんだが。

前沢幸恵さんの磁器は山荷葉のように美しいのだった

赤坂のギャラリー、カフェ・ジャローナで前沢幸恵さんの陶展を見てきた。

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その造形力の確かさもさることながら、独特の技法に舌を巻いた。

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外に葉脈の様な碧の線が載せてあり、それがうちに綺麗に透けている。
このような技法を見たことがなかったので詳しく伺ったところ、
極々薄手につくった磁器の外側に硫酸銅を入れた線を載せて焼くと、裏に抜けるのだそうだ。
それで内と表で同じ文様に成るのだという。
似た技法はありますかと尋ねたところ、黄瀬戸にある抜けタンパンは同じく硫酸銅を重ねて裏に緑を抜けさせるとのこと。
だが線を載せて立体にするところ、磁器をベースにしたところがやはり独特である。

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また内は磁器成りに艶を帯びているが、外はマットである。
このわけを伺ったところ、焼いた後外側のみを丹念に紙やすりで磨いているからとのこと。
なんとも手の込んでいることよ。

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サンダーソニアの愛らしさがよく似合う花入。

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高台を粗く削いで金を載せるなど、見えづらいところにまで贅を尽くしながら、少しも嫌みでなく、ただ格が上がっているのが素晴らしい。

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ピジョンブラッドを思わせる深い赤、これも同じく硫酸銅とのこと。但し窯の中にバーナーを入れて強く焼成している。

緑青と赤銅の理屈だ。

どうにもならなくなって、ぐい呑みを手に取った。

縁の薄い繊細、内の磁器成りの端正な艶、表のマット感、なんと手になじみ、なんと美しいことか。

私が一等好きな牡丹、白峰の花弁のようであり、また写真でしかみたことのない山荷葉の花が、雨に打たれ透明になってゆくその中途のようでもある

一つ求めた。
これだけ手をかけたものが3,000円で贖えるのだ。
なんといい時代であろうか。

(そういやぁ断酒を決めたんだった。
ならこれは上等の玉露でもちびちび飲む器にしようか。)

カフェ・ジャローナでの前沢幸恵陶展は、2月6日土曜日まで開催中。

カフェ・ジャローナ
前沢幸恵さんのサイト

国家公務員は大変なお仕事だよ。

国家公務員は大変なお仕事だよ。
国会待機は帰れま10どころの話じゃないよ。
議員センセイから質問が来るまでひたすら待機して、質問が来たら大急ぎで答弁資料作って届けるんだよ。
会議室で倒れて寝てる女の子が散見されるくらい大変なんだよ。
国会会期中はいつ呼び出されてもいいように在所も明らかにしとかなきゃいけないんだよ。
数年に一度の所管の法改正に当たったらやっぱり帰れま10だよ。
国民にとってよりよい法律を作るためにあらゆる情報を収集して、案を作成して、有識者、国民の意見を聞いて、それでも業界団体にぶち壊されるような体験をしなきゃいけないんだよ。
そもそも民主みたいな碌にものわかってないくせに好き勝手なこといってくる党が頭になってもどうにか国を通常運営できたのは国家公務員が悔しさを飲みこんで自民時代と同程度のサポートをしたからだよ。
それだけ公僕としての覚悟があって、聡明で、調整力のある人が、民間よりも安い月給で来てくれるわけないでしょ。
議員センセイはよく勉強していらっしゃる方もおられるけど、そうでない人もたくさんいることは皆さんご存知でしょ。
そういう人に好き放題かじ取りさせて、ねぇあなた、一体この国がまともに動くと思うかい?
シェフの気まぐれサラダ並みの思い付きを投げ込んでくる議員センセイのおかげで、縁の下の力持ちたらざるをえない国家公務員の仕事のリソースはそぎ落とされ放題なんだよ。
通常の仕事をしながら、飛び込み案件にもがつがつ対応しなきゃいけないんだよ。
そんなのは民間だったら当たり前だって?
じゃあ、民間と同等の給与水準で何が悪いんだい?

もう一度言う。

志はあるけれども行政については素人の人たちが国のかじ取りをするってぇときに、サポートに回る人が民間よりも劣っていたとして、そんな国にあなたは住みたいと思うかい?

木を見て森を見ずという言葉があるが、もしあなたが国家公務員の給与が民間と同じ基準に調整されることを国に見かけ上の借金があるからという理由で否定するなら、あなたはむしろ森を見て木を見ない人だ。

国のかじ取りを全力でサポートしている人については、民間と同等の給与ぐらい、許してやろうぜ。

勿論中には「マジで何もしていない人」もいる。
でも、少なくとも8割は、身を粉にして働いている。
それは民間でも同じだろう。

村役場市役所県庁、つまるところあなたの目につきやすいところで働いているであろう地方公務員の事情は全くわからん。

だが、少なくとも、「国家公務員」には、国民が選んでしまったあらゆるレベルの国会議員をサポートする覚悟と責務がある。
それに対する報酬を惜しんだら、国が滅びかねん。
そうは思わないのか?

あー、まぁ、そんなわけで、国家公務員と地方公務員の違いすらわかんねぇでのべくってるてめぇ、この件については黙ってろよ。
でねぇとてめぇの無知をワールドワイドにお披露目することになっちまうからよぉ。

出張先で好きなタイプのタレント論議になりまして。

おひとりの妙齢のご婦人が三十代の既婚男性に向かい

「ベッキーさんとかどう思われます? 」

・・・空気読めないにもほどがあると思いました。

これは、ほんとうの、はなし。

週末のトラブル開け、会議に出席。
今までそこまでのことなぞついぞなかったのに、くっそ眠い。
どころかあらぬまじきことに船を漕ぐ。
ああこれはいかん、と正し直すもまた体は沈む。
(もうこりゃ抗えん)と諦めきって更に沈もうとしたところ、左の耳元で
ぱん

軽快にして明朗にして溌剌たる拍手があった。

それで自分は凛と背を伸ばし何事もなかったように資料に目を落としたのだが。

後から聞くと、隣席、上司、いずれもそのようなことはしていないという。

それだけの、話。

徳川美術館はなかなかよいものであったことよ

「徳川美術館は、侯爵徳川義親の寄贈に基づき、御三家筆頭62万石の大大名、尾張徳川家に伝えられた数々の家宝、いわゆる「大名道具」をそっくりそのまま収め」て開館した美術館である(パンフレットより抜粋)。
展示室は9に分かれており、それぞれ
1 武家のシンボル 具足、刀
2 大名の数寄 茶の湯 名古屋城二の丸御殿にあった「猿面茶室」を復元 ボタンを押すと奥のふすまが開いて茶道具の納め方が見れるから見逃すな!
3 室礼 書院造に贅を尽くした品々 名古屋城二の丸御殿の「広間」と「鎖の間」の一部復元
4 武家の式楽 能名古屋城二の丸御殿の能舞台を原寸大で復元 能がたしなみであったということは歌って踊れる武士じゃなきゃいかんかったということで大変じゃなイカ!
5 大名の雅 奥道具 化粧の品やら琉球楽器やら
6 王朝の華 源氏物語絵巻
7,8,9 企画展示室

となかなか見どころのある構成。

青貝柄槍拵なぞ、持て余すほどの長い槍の柄が螺鈿のようになっておって、徳川の贅もここに極まれりと思われたものだ。
すべての品がただ並べられているのではなく、復元した名古屋城の一室を背景に情景を再現するように展示されているのがまたよい。
ただ、今回は、私好みとしか思えないような、
「知られざる徳川美術館コレクション 珍品・気品・銘品!?」
という特別展を行っており、むらむらしていたわけである。

これは! をかいつまんでご報告。
・黒塗り茶糸威具足 徳川宗治所用
なんか具足の後ろに金のモールで作った筒をすえそのてっぺんに黒のふっさふさが乗っけてある。きんきらの筆が乗ってるような感じ。どうしてこうなった。
・萩山焼膃肭臍置物 熱田に膃肭臍(実はアシカ)が来た時に大盛り上がりで作られた焼き物の一。
・鉄火箸(名古屋城古瓦止釘転用) 欲しいな。
・鳩杖 ハトは咽ないから長寿の祝いのモチーフとなるそうだ。
・化石鳳凰硯 貝の化石を鳳凰の羽に見立てて珍重した模様

ちょっと気の毒なのが「下手ウマ! 殿様手作り品」コーナー。
・人物絵巻。なんかこう、人物を描いたのを絵巻仕立てにしてるんだけど、スゲー才能がないのかあるいはやる気がねーのか。稚拙極まりないのが300年後に公開されるなんて、えらいひとは気を付けた方がいいと思いました。
・茶碗群 皆陶工の手が入ったのではないかと付記されていてちょっと寂しい…
すげえのが写真なすった徳川慶勝。こいつすごい、生地牡丹彫衝立とか、文字彫刻箱とか、お殿様の手すさびのレベルを超越してる。すげぇなやっぱ慶勝はよ。

・墓に納めるほど大事にしてた北斎漫画1から12巻野ざらしにされて「この時代の殿様もこのような庶民的な書物を楽しむことが可能だったんですねー」とか言われる慶臧萌え~
・化け物草紙 なんとここにもあったのか!
・火桶型銀杏の実入れ ちょうど銀杏が入る程度のごく小さいほかに用途の見当たらないような猪口の様な器を思いなさい、猪口よりもまだ小さい、それが四つ端正に並んでいる、これは如何にと思ったら、銀杏入れであると。徳川では銀杏は四つ以上頂くと腹を下すとの言い習わしがあり、そのためこのような器を作ったとのこと。得心しつつ若干めんどうくさいと思ったのは内緒だ。
・四季草花文金銀珠石螺鈿蒔絵小沈箱 手のひらに乗るお重に螺鈿細工が施されている。美しいものは恐ろしい。
・香道用の花灰押群もまたしかり。
・詩歌短冊帳、料紙を張り交ぜ美しく書き下した詩歌の豆判、これはむらむらきますなぁ。
・根付類は言うにさらなり。

・能装束、唐人相撲用のひげが想定以上にインパクト。

・秀吉所有の古印、、それぞれミニチュアですばらしいのだが、なかでも三重の入れ子になっているものがすばらしかった。

以上、伝来の確かならぬものもとり交ぜた非常に面白い展覧会、常設展の料金で特別展も拝観できるので、お近くの方は行っておくがお得ですぜ!

徳川美術館

なおまめちしき。
・徳川美術館にはでかいガラガラオッケーなロッカーがあるのでチケット販売のところで申し出よう。専用コインを呉れる。コインは戻ってこないのでとり忘れたものがあったらもっぺん販売のところに申告しに行こう。
・もしあなたがバスでここに来たのなら、そしてそのまま名古屋駅に行きたいのなら、20分ごとに来る市の基幹バスに乗るといい。バス停は自分が乗ってきたものの向かいにあるやつだ。そ

俺氏、徳川美術館で美術鑑賞後テレビクルーに「最近刀剣女子というものがありますが、今回は何を見にいらっしゃったんですか? 」と声をかけられる事案発生

私はヲタクの総合デパートか!

百物語第四夜其の六 天井

 まあなんというか、敷地を生かし切って実に上手に作られましたなぁといわざるをえないような、それでもかろうじて二階建ての、実に狭小な立ち飲み屋である。
 しかし立ち飲みにおいては狭小という業態ははむしろ大いなるアドバンテージである。そこでは全ての人はパーソナルスペースを放棄させられる。立ち位置も不安定で、詰めてもらったり譲ってもらったり、今割と親密に話していた相手が所用で場を離れた途端それを聞いていた別の客と話が盛り上がり、では先ほどは何処にと思いきや、これまた入ってきたばかりの昔馴染みと話が弾んでいたりするから、一体この場の雰囲気を盛り下げるにはどうしたらいいのか、通夜帰りでもよれば故人の話で少しはしんみりするかと思われたらところがどっこい大往生の喪主は至って気安い男で、ネクタイこそ黒であったものの黒のベレーを洒脱に被り、マフラーは捩じって纏い、外で常連に塩を撒かれた後に乗りこんできて焼酎あたりを何杯か飲んで親父は大正生まれだっただのと常に変わらぬ様子で話をするが拍子抜けでどうにもこうにもこの店の持つ不可解な盤石を思い知らされる愉快なエピソードではある。
 さてその店、二階に小さいおばあさんが住んでいるという噂があった。
 昔の家なら天井裏で鼠の運動会があったという、あれほどではないが、今は客の饗応には使われていない、物置になっている二階にあるトイレへの通路、稀には帰りそびれたマスターの避難所にもなっている、その二階から、異音がするというのである。
 怖いもの知らずが訪ねたとて何に会うわけではない。だが、少しの人数で一階で飲んでいると、確かに、何かを叩くコツコツとしたような音が、上から響いてくることはある。ただそれは大人数の時にはなく、またどうも特定の人物がいるときに限っているように思われて、新しい客が上に御不浄を訪ねるときのからかいのネタになる程度のものだった。
 常連は、ああそういう音がそういやぁ今日はするねぇ、という程度、木の軋みやらつい足が冷凍庫に当たった音やら、そんな程度に軽んじて考えていた。
 あるときまだ成人になったばかりで迷い込んできた青年が、上を借りると行ってきた。靴を脱ぐようにといわれるがまま、きちんと靴を脱ぎ、そんな風に見えないのに履物をきちんと揃え、たんたんと明るい音さして上へ上って行った。一人が面白がって、上には小さいおばあさんが住んでいるんだから会ったらちゃんと挨拶するんだよ、と声をかけた。わかりました、笑いながら若い声が答えた。
 暫時。
 一階の常連は特に意識せぬまま自分たちの話題で盛り上がったり歌を歌ったりして過ごしていた。だがそういやぁあの若いのが帰ってきてないなぁということで少しの懸念が生まれ始めた。
 「寝ているんじゃないかね」
 「ああ、あれで大分酩酊していたようだからね」
 そんなことを言いながらどうも面倒くさがって誰もすぐにはいかない。何故なら彼は一人で来ている客で、まだ親しいといえるほどの飲み友達ができていなかったためである。
 それでマスターが自分の小用のついでに見に行くことにした。
 「大丈夫か」声をかけながら階段を上がる。彼の足が見えた。なんだ寝てるのか、起こさねぇとな、と思いながら上がり切った。
 寝ては居なかった。
 目を開いて、ただじっと天井を見ていた。呆けたように。
 「どうしたの、大丈夫? みんな下で待ってるから降りといで。」
 「いえ…マスター。」
 淡々と言葉を紡ぐ。
 「さっき僕、小さいおばあさんがいるから挨拶をしろといわれたんですけどね」
 「あーあんなの嘘だよ。初めて二階上がるやつには皆いうんだ。でもこんな明かりがついて空調も整備されているところ、ちっとも怖くないだろう? 」
 「いえ」
 若者は目を天井から離さないまま答えた。それでマスターもつい天井に目を遣った。
 すると。

 火熨斗で引き伸ばされたような、やけに目だけが大きい老婆が、天井の一面に貼りついていた。

 このときマスタはーは、血の気が引く、という感覚の真髄を味わったそうだ。
 一方の若いの、酩酊のせいか、若さのせいか、少しも動じるところがない。
「あのう、あのお婆さんが皆さんにいわれた小さいお婆さんだとしてもよいのですが、どうもあれは小さいように見えないのと、この板の間の真ん中あたりに正座なさっていると思ったら天井にいらっしゃるという展開、とりあえず挨拶をしろといわれたからひっくり返っていたのですが、この姿勢からあのご年配の心に叶うご挨拶はどのようにすればよいものでしょうかね。」
 などと淡々と言う。
 マスターは引っ込んでしまった尿意の行方を薄く心配しながら、脳天で覚えるねめつけるような目線をいかに順当に払うかを懸命に考えた。そして結局極めて軽薄な結論にたどり着いた。
 「じゃあ二人して寝転がってあれに手を振るか。」
 
 それが最適解であったのかなぞは誰に判断しうる話でもない。だが確かにその平べったいおばあさんはにたりと笑ったあと右に左に引き伸ばされるような動きしながら最終的に天井の割れ目からつるりと抜けて見えなくなったのである。

 若いのは先だって階段を下りてゆき、「遅かったじゃない」「小さいおばあちゃんにちゃんと挨拶した?」などと問われ、「いやぁあれは小さかなかったですよ」などと答えている。
 マスターは…マスターは階段を下りたものの、どうもあの天井の光景が頭から抜けない。

 (さあ明日から一体小便をどうするか)
 
 どうにも名案の浮かばなさそうな宿題を突き付けられた不運を、マスターは少し持て余した後、いっそ日本酒にと一緒に一気に飲んじまうことにした。
 注いだ水面に例のおばあさんの目玉が映りこんでいたような気がしたが。
 (何、屹度気のせいだ)

                                                            終
 

百物語第四夜其の伍 明日

 その店はあるのだかないのだかよくわからない店だった。
 近所に川がある。その川には最近にしては立派な河原がある。その河原を少し下った橋の下に、ごく小さい店が稀に呆と建つ。目を凝らしてもあるかないか不明瞭な、輪郭の定かでない薄黒い小屋にしか見えぬ店である。勿論看板などない。どんな構造なのか、どこから入るのかすら外からはわからない。そんな不可解、或いは自分以外は認識すらしていないのではないかと思われる店を、仕事のない土曜日の夕刻、散歩の途中に見かけると、私は河原へ降りる道を探してその店を訪ねるのである。
 (ら…しゃいませ…)
 黒い板を打ち付けただけのぐるりからどうして私は中に通じるだろう扉を探せるのか。そしてそれは裏口でもなんでもなく、確かに正当な店への入り口であり、建物の輪郭よりもさらにうすぼんやりした中に私をたどり着かせるのか、わけがわからなかったかそんなことはどうでもいい。私には、誰でもない誰かとして、誰でもない何かに、重い軽いにかかわらず開示しずらい事案をほのめかす場所が必要だったのだ。
 カウンタらしきものがあり、その上には価格表があった。それはところどころ薄汚れていたり消えていたりして、どうにも現役ではなさそうだったが、かろうじて読めた文字に従い、私は注文した。
 「水割りで」
 「…たまわりました…」
 おい天文学者連、あんたらが探しているダークマターとやらは実のところここにあるんじゃないのか、こいつをダイソンあたりで吸引するかジップロックあたりでちょいと密閉したらあんたらの研究の糧になるんじゃないか、そんな具合に不定形で薄黒い燃えさしの何かのような影が対応する。背後の飲み物は古びているが見たことのある酒瓶類で、或いはここは戦後にここに身を寄せていた酒場の亡霊なのではないかと思いを馳せる。
 静かだ。誰もかれも煤の影のようだ。私も他からそのように見えておれば非常に面白いのに。しかし一方で、他は一体自分をそのように認識しうる主体であるのか、そのことを思うと期待はしちゃいかんする気がする。
 私はただ、おそらくこの地域の人間であってもすべての人は認識しきらない、この呑み屋の残留思念のようなものを訪ねて、当時の人々の影とあるようなないような会話を交わす、そのあてどなさ掴みどころのなさが、いっそ諸般に括りつけられているような私を扶けるものだと頼みにしていた。
 
 「3…50円です」
 支払うと、トリスの水割りが出てきた。この時分は冷えるので氷は厳禁だ。といって原液では胃を遣られる。ならば温めればどうかと思われようが、立ちあがる香気は強すぎてちとつらい。消去法の、後ろ向きの、ただの水割りである。
 「女がね、大事にされるようだよ」
 うすぼんやりした黒の影が、珍しく自分から口を開いた。こんな不明瞭な、存在も確かならぬ幻の店の従業員(主人なのかすらわからん、なぜならみな薄黒い影だからだ)に、その基準すら開示されぬまま、ただ、お前は店と何らかの情報を共有するにたる人物であると判定されたようで、知らずその後の私の思考は極彩色まではいかずとも暖かく柔らかい歓喜を帯び始めた。
 「ほう、どんな女がですか」
 「幸せな話だよ。」
 「どう幸せなんですか」

 黒い影は前後も左右もわからぬ黒い影のままだった。私にはその様子が却って好もしかった

 女にあったのは中程度の不幸だった。
 隠し子を作られたのは立派な不幸だった。だが夫の女性関係をそのような方向に駆り立てたのは女の酒乱であった。それは承知していた。酒乱を治すために夫の実家に子どもごと滞在したところ女はアルコールを断つことに成功し、見守っていた夫の両親が夫に関係の再建を迫った。
 すると夫は、自分にはすでに別の女と子どもがおり、二度と女とは添えないということを、明白に告げた。

 女は己の病状について十全に理解しており、それゆえに関係の継続をあきらめた。ただ、夫の両親に対する夫自身の不誠実については、咎めるべきだと思っていた。といっても立場上ままなるものではない。女は夫の両親のその後も続く誠実をいっそ空虚なもののように覚えながら、日常が戻ってくるのを待った。

 それがまだ顔も見たことのない女の人生の中段である。

 それから女は仕事を始めた、自身の実家に助けてもらいながら子を養った。子育ては下手ではあったが国の整備してくれたシステムと親、友人のおかげで、子どもらは人生の課題を女の知らぬところで着々と課題をこなしながら育って行った。

 ふいに黒い影は私に向き直った…意志を発する方向がこちらに向いたというほどのことだけであるが。

 あなたはこれからその女に会うだろう。この面倒な女に。だがあなたはその女をあたかも掌中の珠のように愛でるであろう。ねぶり、なぶり、くじり、いじり、そのことをお前は心から楽しむだろう。その見目を愛おしみ、声を愛おしみ、その喉から発される旋律を愛おしみ、知性を愛おしみ、末永く手元に置いておきたいと思うだろう。

 それがお前が明日会う愛玩物だ。

 もう一杯頼もうとした。だが、見上げたとき、すでに酒棚もメニューも黒くくすんで、どうしたって次は頼めないような具合だった。

 「ごちそうさまでした。」
 
 私はやむなくそこを辞した。最後まで店には他にも誰かまたは何かが居るようででそれなのにどれもよくわからなかった。

 私は、明日から逃げ出したくなった。

 それで私は、特段の用もないのに、河原の臨める喫茶店に陣取って、好きでもないコーヒーを啜りながら、あの薄黒い小屋が今ひとたび出現するのを、今か今かと待ち望んでいるのだ。

七草鍋。

毎年毎年七草粥のころになるとテンションが下がっておった。
粥などという脆弱な代物を三食のどこに持って来たらいいかわからんからだ。
朝食といわれても、子どもの好む目玉焼きには合わないし、はらにたまんねぇし、七草セットは皮剥いていいんだか悪いんだかわかんないようなミニチュア大根と蕪ときれいな雑草みたいな葉物で、刻んで塩粥に入れてもなんかこう盛り上がらん。

しかし、正月に御馳走攻めで疲れ果てた胃腸を休めるというコンセプトの慣習自体は好きなので、今回は考えた。

七草を鍋の締めのおじやに入れてみてはどうだろう。

というわけで
塩、醤油麹、京風出汁の素、ごくわずかな柚子胡椒
で仕立てた出し汁に
鶏団子、魚河岸揚げ、がんもどき、葱、白菜、榎茸、ホンシメジ
を具とした寄せ鍋を執り行い、残った具を浚った後、洗ってぬめりをご飯と大根、蕪の刻んだのを入れて煮なおし、やや歯応えが残る辺りで刻んだ葉物類を投入、蓋をして青みが鮮やかだが舌に触らない程度に蒸らしたものを頂いた。

献立の中で「七草粥だけ浮いた感」もなくなり、食べ応えもある、なかなかよいものとなった。

今後我が家では一月七日には七草鍋を執り行うこととする。
楽だしな!


Wikipediaによると、七草粥は想定以上にフリーダム。こりゃ締めのおじや採用もありだな。

今週のおそうざい

主菜
豚の角煮、焼き豚
豚バラ一本、網かけた豚肉(腿だったっけ)一本
圧力鍋で下ゆで高圧5分、冬の常温になったところでラード取って醤油とバルサミコ酢と砂糖で調味、蒟蒻千切り入れて再度高圧で20分加熱、自然減圧したところでちょい煮詰める。焼き豚は網脱がした後フライパンで表面を追い焼きする。ヤキブタダカラネー。もちろんラードは別の料理に使えるよう密閉容器に保存。

みそ汁
大根、人参は銀杏切、あぶらげ短冊、えのきざく切りを鍋に入れ水を張る。圧力鍋に移し低圧で一分加熱、元の鍋に戻しゆくりなく味噌を溶き入れる。

副菜
白菜とろとろ煮
白菜ざく切りとえのきを味覇としょうがのすりおろしでとろとろに煮上げる。

紅くるりの塩昆布和え
紅くるりとはずんぐりした赤大根。スライサーで短冊にし、塩昆部長と寿司酢で調味。とどめに白むきごまをだばーっと。

トマトとセロリのあえたの
トマトは八切りをさらに半分に、セロリはスライサーで薄切り、これにブナシメジをオリーブオイルとバルサミコ酢とクレイジーソルトで炒めたものを混ぜ合わせ、塩コショウするl。

キャベツとブロッコリーとブナシメジの蒸したの
キャベツはざく切り、ブロッコリーは房に、ブナシメジはばらかして、蒸し器にぶち込んでブロッコリーの茎に竹串が通るほどに蒸す。蒸しあがったらクレイジーソルトと寿司酢で下味をつけておくと持ちがよくなりしかもどの調味料とも合うステーキな一品になるのだァー!

うん。こんな時間の更新。眠れないんだよねフフーフ。

あけまして変態だ

だって大好きなサガノヘルマーさんがウェブ連載始めて他のをナメクジ長屋さん経由で知ったんだもん!
年明け早々変態全開の後ろ指をさされようともためらうことなく私は記録するぜ!
何故ならこれは、私による、私のための、私の備忘録だからだ!

コリドラー

妄想神話コリドラーマン

今なら無料で全話読めるという素敵仕様。コリドラーは打ち切り臭強くて泣ける。

おいらが以前書いたサガノヘルマー礼賛記事はこちら

正月に読むのはどうかと思うが、ちょっと寝かせておいて読んでみると面白いから! ね! まじで面白いから! 見てみてよ!

あーあと自分へのお年玉として買ったのが











というわけで、今年も通常営業です。よろしくお願いいたします。
プロフィール

ネコタ斑猫

  • Author:ネコタ斑猫
  • オリジナル百物語サイトバー理科室の管理人。本家サイトでは400字×20枚内読み切り短編連載中。死ぬまでに千物語を完成させるのが目標。
    プロフ画像は山田芳裕著「へうげもの」より。古織いいよ古織。
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